第37話 ティーデとヒセラの祝福

 王都に到着してから10日が経過した。


 勘違いしていたが、祝福は1週間後ではなく、10日後だったようだ。


 これは王都へ早く着いたための勘違いなのだが、1週間早く着いたと思い込んでいたのと、今回の祝福、思いのほか大人数になったようで、ティーデとヒセラの番が遅くなってしまった、と言うのもあったのだ。


 俺はフロリーナとヤーナに薬草採取の講習を行い、商人ギルドで依頼のあった簡易トイレと台車の試作を製作していたので、2人はニールスにいに任せっきりだった。にい、ごめん!



 因みにニールスにいのパーティーは【雲外蒼天】と言うのだが、ニールスにい以外は全員女性だ。


 尤もニールスにいは近いうちにパーティーを抜ける腹積もりらしい。

 たぶん無理だろうと俺は思っているが。


 そうそう、何でこの話かって言えば、俺が簡易トイレの試作品を作っていると聞いた雲外蒼天のメンバーが、ええとあの背の高いノールチェさんだったかな?彼女が、

「君の大事な弟君と妹ちゃんは、私達が責任をもって預かるから、君はいち早く簡易トイレを完成しなさい!そしてそのうちの一つを頂戴!」


 結局2人はほぼニールスにいのパーティーに任せっきりになってしまったのだが、その甲斐あってか、それなりの簡易トイレが完成し、早速使ってもらっている。


 恐らく商人ギルドで製品化されるであろう簡易トイレとは、そもそも材質が違ってくると思うので、もし耐久度が悪ければ後で製品化したら買いなおしてとは伝えてあるんだ。


 また脱線。


 流石に祝福の時ぐらいは兄として双子の近くに居てやりたい。そう思ったので大聖堂には俺とニールスにいが一緒に向かう事になったんだ。


「クーンにい!大きいね!」

「綺麗な場所ね!私こう言う場所って大好きよ!」

 2人はこれから自分の今後を左右しかねないスキルを調べてもらうのに、全くと言っていいほど自然体だ。

 そんな2人の結果が気になるが、そもそもまだ祝福を受けていないから早く順番が来るといいのだが。待ち遠しいぜ!


「クーン、簡易トイレは助かったよ。何せパーティーメンバーは僕以外全員女性だからね。こういったデリケートな問題はクーンが思っているより大事なんだ。それに簡易トイレを運搬できるように工夫がしてある台車。今使用している台車よりさらに利便性も上がっているし、クーンはこのまま物造りで生活していけるんじゃないのか?わざわざ危険な魔物と対峙する必要もないしさ。」

「どうなんだろう。俺はトイレを作りたかった訳じゃないけれど、不便な事は可能であれば快適にしたいからさ。」

「クーンのクーンたる魅力はきっとその柔軟な発想なのだろうね。僕ではそんな事を考えようとすら思わないからね、そこは素直に喜ぶべきだね、あ、2人の番だ。」


「行ってきます!」

「じゃあねえダブルにい!」


 2人は祝福を受けるために俺も1年前に行った事をしてもらっている。


 だけど何か変だな。

 ありゃ?またあのおばちゃんだぞ。

 だけどさ、何だかまたやり直している。

 うーん、何だか嫌な予感しかしないな。

 もしかしてあの2人も一つスキルだったか?

 恐らく水魔法と風魔法なんだよな。

 道中も魔物を仕留めるのに使っていたし。



 暫くして2人が戻って来たので、話を聞くために4人で移動を。

 2人の表情が浮かない事からも一つスキルだった可能性もあるし、スキルが微妙だった可能性もある。

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