第26話 二人に薬草採取を教える事になった
2人の女の子・フロリーナとヤーナに薬草採取を教えるという、なんでこんな面倒な事を俺は引き受けてしまったんだ。よく考えたら俺にはこれっぽっちも益がない・・・・ないはず。
この2人に教えて俺は何の得があるのだろう。
ヤーナは俺を敵視しているし、上から目線だ。
それにあの攻撃魔法だ。見えなかったんだが風魔法か?
そしてフロリーナ。
彼女は何を使えるんだ?
「・・・・にいに!、くーんにいに!」
は!いつの間にやら弟達が戻っていたようだ。
「何だクーン、隅に置けないな!」
隅に置いておきたい、ついでに言えば俺は歓迎されていないんだぞ。
ヤーナとかいう女の子は相変わらず俺を敵視しているし。教えを乞う立場なはずなのに、上から目線とかどうしろと。
「ニールスにい、何故か俺この2人に薬草採取を教える事に・・・・」
「分かった、皆まで言うな。その間、ティーデとヒセラはこちらで面倒を見ておくから、頑張ってくれよ!」
そう言ってニールスにいはティーデとヒセラを連れて去って行った。去り際に可愛い弟と妹からは、
「じゃあねクーンにいに!もう彼女できたとか武勇伝だね!」
「どちらが本命なのかなクーンにいに?」
まじかよ!あいつ等にはそう見えるのか?
と言うか武勇伝とか本命とか、
さて、どうすっかな。
俺は2人に向き合った。爺さんは2人の後ろに控えている。
爺さんもといセバスチャンは単なる護衛なので、基本薬草採取はしないらしい。正確には自分の分だけ、らしい。
「その事ですが、申し訳ございませぬ。私も薬草採取の知識がまるで御座いませぬ。宜しければ私もご教示願えますでしょうか?」
「見て覚えられるのか?一応薬草の種類やどの部位が必要なのか、そしてどうやって採取するのがいいのかは教えるが、手取り足取りはしない。」
「かしこまりました。ではクーン殿、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。」
爺さんは意欲があるようだが、肝心の2人は?
「く!こんな奴に頭を下げる事になろうとは、何たる屈辱。」
まだこんな事を言っているのか。こいつだけ教えるのやめておこうか?
「駄目よヤーナ。今はクーンさまの教えを真摯に受け止め、学ばなくては。」
何か違う気がするがまあいいか。
「色々含む所も思う所もありそうだが、俺の言う事を守る事が出来るなら連れていってやらんでもない。」
試しに俺が上から目線で喋ってみるか?くくくっ!特にヤーナとかいう女の子の反応が楽しみだぜ!
「な!貴様まさかとは思うがフロリーナさまに教える立場と言う強い立場を悪用し、あんな事やこんな事をさせるつもりなんじゃなかろうな!」
あんな事やこんな事とはなんぞ?
「言いたい事はそれだけか?じゃあ今から出発だ。それとあんな事やこんな事とは具体的にどういう事だ?」
はあ、何で出発前からこんなに疲れるんだ?
そして黙り込むヤーナだが、何故顔が真っ赤なんだ?もしかして恥ずかしい事を考えていたのか?
・・・・
・・・
・・
・
今4人で城門を超え、薬草の生えていそうな場所に移動中。
まあ1時間程度歩けばそれなりに密集している場所があるんだよな。
そんな場所を数ヶ所教えてやれば、そして後は俺の教えを守りさえすれば、暫くは何とかなるはずだ。
で、最初のポイントに到着。
だが、俺は初手から間違ったようだ。
こいつらときたら、薬草と雑草の区別がつかん!
「そこ!動くな!!薬草が足元にあるのに何踏もうとしているんだ!」
俺は怒りを込めて叫んだ!そして何で俺はこいつらに薬草採取を教えるという難ミッションを引き受けてしまったのかと、間違ったうえに後悔をしていた。
薬草採取に来ていて雑草と薬草の区別が付かんとは、教えを乞う前にそれぐらい調べておけよ!
俺は採取の方法を教えるのかと思っていたが、そもそも薬草の何たるかを知らんらしい!馬鹿にしているのか?
「うがああ!!何でそんな無造作に引っこ抜くんだ!そっち!そいつは葉が必要と何度言ったらわかるんだああ!!!」
俺はブチ切れた。
よく今までこんなので薬草採取をしようと思ったものだ。
「え?これでは駄目ですか?」
「なあ、俺は何度も見せたよな?これは葉が必要、そしてこいつは根が必要だって。」
一体何を見ていたんだか。
「そこ!仕舞い方が雑すぎる!もっと丁寧に仕舞え!」
「なんだと!」
ここまで酷いとは。
どうして俺の採取した薬草の品質がよいのか、理解していないようだな。
まあ俺の採取した品質に関して、他人が採取したのとどう違うのか比べた事は無いが、少なくともこの3人、特に女の子2人だが、あんな雑な扱いでは薬草がすぐに傷む!
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