第27話 急展開

 もう教えるのやめていい?

 俺はこの貴族令嬢・・・・元だが、2人の少女に薬草採取を教えるという、一見簡単そうなこのミッションに、いきなり躓いた。

 そしてどうやら【豆腐】の角で頭を打ち付けて怪我をするほど俺のメンタルは脆かったようだ。


 【豆腐】か。ずいぶん食べてないな。実家の豆で【味噌】とかも作れそうだよな。【醤油】もな。


 は!

【豆腐】【味噌】【醤油】

 って何だっけ?


 なんかこう、思い出せそうで思い出せない、そんなモヤモヤが最近特に多くなった気がするな。


 そんな事を考えていたら、セバスチャンがふいに声をかけてきたぞ。

「クーン殿、何者かに囲まれております。」


 なんだと!魔物か?全く気配がなかったぞ?と言うかこの辺りに魔物は出現しないはずなんだが。


 そう思っていたら現れたのは人間だった。


「ようぼくちゃん、こんな所で何してるんでちゅかあ?」

「おいおい!ぼくちゃんじゃなくって土木ちゃんだぜえ!」

「うほお!上手い事言うじゃねえか!ぼく・・じゃなくぼくってか!うける!!うはははは!」

「うひいいい!うへっ腹いてえ!」


 ・・・・誰だっけ?

 そうだ、唯我独尊ってパーティーメンバーだ。それにしては人数が多い気がするぞ。


「見てわからないのか?薬草採取だよ。」


 俺はそう言って作業を再開する。

「おう待てや!俺様が折角声をかけてやっているのに何無視してやがるんだ?ははあ!さてはあの女共にいい格好しておきたいんだなあ?見た目だけはいい女だからなあ!つまみ食いにはちょうどいいか。」


 そうだ!爺さん強いんじゃないのか?そう思ったがあっという間に拘束されているぞ!

 何でだ?何か仕掛けでもあるのか?


 それにフロリーナとヤーナも捕まっているじゃないか!

「きゃあ!無礼ですわ!」

「やめなさい!その汚らわしい手を放せ!」


「うひょお!こいつらいい匂いしやがるぜ!それにやっぱり女だなあ!柔らけえ!」


「い、いやあ!何をするのですか!」

「何をする!放せ!」

 2人は暴れるが男の力にはどうにもならんな。

 それに執事セバスチャンはあっという間にフルボッコ。おかしい。あの爺さん2人の護衛をしているんじゃなかったのか?強者の気配がしていたんだが。


「ようどぼくちゃん、さっきはよくも恥をかかせてくれたなあ。まあいいやここで死んどけや!あの雌2人はたっぷり可愛がってやるから安心しな!」

 まだ11歳の子供にいい年した大人が・・・・【ロリコン】か?


 ドゴッ!


「うがあ!」


 俺は蹴り飛ばされた。

 数メートルは吹き飛んだのではなかろうか。

 俺が何をしたって言うんだよ。


「いいざまだなあ!」


 さらに追い打ちをかけるかのように、倒れた俺の頭をそいつは踏みやがった!


「ぎゃあ!!!」

 あ、爺さんの腕が変な方向に曲がっている!あいつら度が過ぎる!


 それに・・・・

「きゃあ!やめて下さい!」

「女2人によってたかって・・・・恥を知れ!」

 あいつら薬草採取に来たって言うのにスカートなんだよな。そして今スカートは豪快にめくられ、下着があらわに。


 いくらあの女、特にヤーナの口が悪いからってそれはないよな。


「お前の女は貰っていくぜ!」


 どごっ!


「ぐぼべ!」


 俺はみじめに吹き飛んだ。

 そして強烈な頭痛。


 そして目の前が真っ暗に。


 こんなので終わりなのか?

 何の為に【転生】したんだ俺は。

【転生】って何だっけ?

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