第24話 フロリーナ・フランカ・フェラウデン
よくわからんが、何やら手続きがあるからと明日の朝一番で此処に来るように言われてしまった。いや、依頼だったか?よくわからん。
いやいや今すればいいじゃないか?
そう思ったんだが、
「こちらにも都合がありますので、明日一番でお願いしますわ。」
の一点張り。
はあ、仕方がない。
そして何故か2人の弟と妹は、今日はニールスにいの所で寝泊まりする事になった。
まあたまにはいいよな。
で、俺は一人になった。
久しぶりに【土】を使って色々作ろう。
そう思ったらさっきの唯我独尊とかいうパーティーが、土魔法を土木魔法とバカにしていたのが急にむかついた。
なので色々作ってみた。
どうせ明日はあの女の子2人と一緒に行動しないといけないんだろう。
なので2人の為に道具も作った。
あーしかしあのパーティーは一体何だったんだ?
唯我独尊ってすげえセンスの欠片もない名前だし。
どうせなら
これなら【釈尊】が唱えた言葉だからありがたみが違うんだけどな。
しかし【天上天下】と付けばありがたいお言葉なのに、【唯我独尊】だけだと何で違う意味になるんだろうな。
あれ?今のはなんだ?
【釈尊】って誰?
【天上天下唯我独尊】ってなんぞや?
まあそんな事はどうでもいい。
しかしなんだ、魔力が余ってしまった。
仕方がないので外に出て、城壁を補強しておいた。
一部脆そうな所があったからな。
・・・・
・・・
・・
・
朝になり、食事を済ませ冒険者ギルドに向かう。
ありゃ、早すぎたようだ。まだ入れない。
ふと視線を感じ、そちらを見ると・・・・いた。
どうせ今日は一緒に行動するんだ。声ぐらいかけておくか。
なので俺は2人に近づいた。
しかし気が付けば目の前に爺さんが。
で、爺さんに気が付いた時には既に俺は吹き飛んでいた。
だがここは外だ。
当然地面がある。
俺は咄嗟に【土】を用い斜めに壁を作り、俺自身の吹き飛んだ勢いを殺し、地面を滑るように降りた。
うん、いい感じだ。
「いきなりだな。」
「・・・・」
爺さん何故か俺にとんでもない殺気をぶつけてくる。
俺なんかしたか?
すると爺さん、また俺の目の前に現れた。それなりに距離があったにもかかわらず、瞬きをしたその一瞬の間にここまで距離を詰めてきやがった!
この爺さん只者じゃない!いやそれは昨日も気が付いた。
が、俺も同じ攻撃を何度も喰らうほどお人好しじゃない。
【土】を用い爺さんと俺の間に一瞬で壁を作り、そのまま何枚かの壁を用意、そのまま爺さんを取り囲んだ。天井も用意したから逃げられまい!
そのまま壁を縮小していく。
まあ薄く広げた壁が小さくなるから、厚みは増していくんだけどな。
爺さん壁を叩くが無駄だ。
叩いてもその威力が逃げるようにしているからな。因みに壁は油まみれだぜ!
土って水も含んでいるが、油も含んでいるんだよな。だから壁の表面に油を塗った状態だから、壁に触れてしまえば油で滑るんだよ。そのせいで力が逃げるのだよ。
そしてそのまま身動きできないようにしてやった。
囲んだ所に水を投入。
え?何で水魔法が使えないのに水が投入できるのかって?その前に油もだって?
そりゃあ土の中にはさっきも触れたが水分が含まれているだろう?当然ながら油もだ。
だから土の中の水や油を取り除いたんだよ。正確には土だけ分離して、残ったのが水と油、と言う訳なんだがな。
そしてその油を先に壁の表面に、その後囲いが完成したから水を囲いの中に。
一応顔だけ出せるようにはした。
爺さん顔だけ出ているが、ずっと出ているわけではない。
まあ何れ体力もなくなるだろうがそれまでどうにかなるとは思えないが、ここは万が一に備え、警戒だな。
此処まで約30秒。
流石に対処できまい。
力技で壁を破壊しようにも、油で滑って力が逃げる!我ながらこの短い時間にしては完ぺきな対応だ!
そして女の子が俺の所にやってきた。
「クーンさんごめんなさい。爺が勘違いしてしまったようで。あ、申し遅れましたわ。私フロリーナ・フランカ・フェラウデンと申しますの。本日は薬草採取の心得を教えて下さるようでありがとうございます。しかしクーンさんの魔法は凄いですわね。引退したとはいえ、爺をこうまで一方的に拘束してしまうとは。じい、クーンさんに詫びを入れなさい。」
爺と言われた御仁はこちらを見て、
「クーン殿申し訳ございませぬ。フロリーナさまを託すに値するか試させて頂きました。」
「はあ?まあいいんだけど何勝手に試してんの?」
「言い訳のしようもございませぬ。これは私の独断でございますれば、どうか私の命に免じ、フロリーナさまには手をお出しにならぬよう切に願います。」
何を今更しれっと嘘をついているんだ!この爺さん、本気で俺を殺そうとしてたよな?凄い殺気だったし。
「で、爺さんあんた名前なんて言うの?それと俺は合格なわけ?いやもう名前はどうでもいいや。今日からあんた【セバスチャン】で。」
そう言えばこの爺さん初めて見た時から【セバスチャン】なんだよな。
「勿論合格でございます。そして、【セバスチャン】でございますか?」
「うんそう。なあ、あんたもう俺に危害を加えないよな?」
「それは約束致しかねます。フロリーナさまに敵対しないのであれば、危害は加えませぬ。」
「そう?まあ俺に危険がないのなら、フロリーナって呼んだらいいの?彼女に危害を加える理由がないしさ。ああ、魔力がもったいないから拘束を解くよ。」
俺は壁を一瞬で解除した。
そのまま使った土は元に戻す。
何で魔力がもったいないって?
あの爺さんが全力で抵抗しようとしているのを防ぐ為さ。具体的に何をしていたかって言えば壁の厚みを徐々に増やしていたからさ。
と言うか街中の、しかもギルドの前で襲うとかどういう神経しているんだか。
ここまで2分。
あ、ギルドの入り口が空いた。
「さあクーンさん、参りましょ?」
いやまだニールスにい達が来ていないんだが。
朝から何だったんだ全く。
それと今更思ったんだが、【セバスチャン】って【セバス】ちゃんなのか【セバスチャン】なのかどっちなんだ?
どうでもいい事だが無性に気になっちまったじゃねえか!
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