第15話 家族会議という名の今後の対策
俺が最後だったようで、席に着くと親父が話始めた。
「いよいよここの暮らしも終わりが見えた。」
いきなりとんでもない話が出た。
「あなた!そこまでなのですか?」
お袋が今まで見せた事のない驚き方をしている。俺も驚いているんだがそれ以上の驚き様だな。
「ああ。この領地は魔境に接している。そのせいで周囲の魔物は他の領地と比べ数段強い。ぶっちゃけ王都で活動している冒険者の殆どは、クツーゴ男爵領で魔物を討伐する事は出来ないだろう。あっという間に全滅だ。」
俺は知らなかった。そう言えば王都へ向かう時、最初の2週間は人が減っていたが、その後は誰も死ななかったんだよな。
つまり魔境付近の魔物はとんでもなく強く、そしてその魔物を当たり前のように仕留めていた俺達って実はものすごく強いんじゃ?
俺は王都に向かうまでこの領地以外知らなかったから驚きだ。
だけどそんな領地でずっと暮らしていた親父達は更に強いんだよな。その親父がこんな事を言うんだから、魔境の向こうの魔物って手に負えない?
「
つまり姉2人に姉の子供4人、兄2人、親父とお袋だ。姉の旦那は数に入っていないがどうなんだ?
「なあ親父、領主様が魔境に踏み込むんだよな?そうするとその後はどうなるんだ?」
兄貴が親父に質問しているが、俺も知りたい。
「俺が冒険者だった頃に聞いた話だと、恐らく魔境の主が魔境に入り込んだ人間を襲う。そしてその後は恐らくだがその人間が住んでいた場所までやってくるだろう。」
そして唐突に気が付いた。
俺は領主の逆鱗に触れ実質追放処分になった訳だが、これって本当は親父が意図的にこう誘導した?
うわ、俺が想定していたより事態はひっ迫しているんじゃないか!
親父がここで言葉を止める。
というか親父は昔冒険者だったのか?
「じゃあその後は、つまりこの領地は?」
「俺の考えでは、その魔物は間違いなくこの領地を破壊するだろう。そして領地に人がいようがお構いなしだ。最悪の場合はそのまま王都までなだれ込む。まあこの可能性は低いと思うが、クツーゴ男爵領以外のリーバクーヨ男爵領とギーコア男爵領、この2つの領地も怪しい。何せクツーゴ男爵領同様緩衝地帯をずいぶん開拓したって話だからな。その昔魔物と人間がどのような話し合いをしたのか詳しくは知らないが、魔境の向こうには全ての人が出入りをする事を禁じ、万が一間違って入り込まないよう広めに緩衝地帯を設けたらしいからな、言い訳は通じないだろう。だから・・・・万が一の時はクーンが作ってくれたあの乗り物に乗って、俺達は逃げる。」
俺の作った乗り物が生命線とか、領地はもう終わりなのか。
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