第14話 準備
「すまんなクーン、力になれず。無力な父を許してくれ。」
俺と親父は家に帰った。すると親父は俺に何故か謝罪を。
「いや親父。俺はあの岩をどかしたらいけないのを知らなかったとはいえ除去しちまったんだ。」
「そうじゃないんだ。あの岩は俺達も除去しようとしたができなかった。でかすぎたからだ。あの様な大岩は開拓した場所に何か所も放置してあるんだ。あれらを全て除去できれば領地はもっと発展するだろう。だが領主様は魔境の向こうに進出したいらしい。それもどうやら他の領地でも同様、しかもそこの領主様と競っている様子。それであの大岩を除去できるとなると魔境への進出が遅くなると思ったのだろう。だからクーンに対してあの扱いだ。それと・・・・これは後で言う。皆を集めて説明をしよう。それまでに明日の準備をするがいい。」
普段あまり多くを語らない親父がここまで語るとは。
何かあるな。これは単に俺が追放される、という事ではなさそうだ。
まあ俺だけならサクッと準備ができるが、領主様は魔境に進出か。その後が心配だな。
魔境の向こうってとんでもなく強い魔物が住んでいるって噂だけど問題ないのか?
もし魔境に人が向かって、魔物の逆鱗に触れちまったら領地はどうなるんだ?
万が一逃げないといけない羽目になったら困るな。
その頃には俺は領地を出発して既にこの地にいないはずだけど、親父をはじめ兄貴達が心配だな。
一応素早く逃げられるように、例の移動手段を人数分用意しようか。
・・・・
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・
家族が揃うまでの間、俺はひたすら一度作ったあの台車を作りまくった。
何故かキック▼ードと言ってはいけない気がしたので、
【キック台車】と命名してみた。
単に荷物を運搬するのに、ニールスにいに渡したようなのは【台車】、こちらのような素早く移動する手段としての台車は【キック台車】と呼ぶ事にした。
まあ既に数台は作ったんだけど、いつの間にか2台ほど消えていた。どこに行ったんだ?まあまた作ればいいんだけどさ。
この際だから嫁いだ姉達の分も含め、そして予備もあったほうがいい?10台ほど作った。
姉2人にはそれぞれ子供が2人いるから、念の為子供も一緒に移動できるように、幼い子供用の座席も設けてある。
その分大きくなるから念入りに作った。
その甲斐あってか時間をかけただけあってスムーズに動くし、他の台車と同じ速度が出る・・・・はず。
そして肝心な素材だけど、幸い家の周囲には【油草】や【空気草】が豊富にあるから車軸に塗る油もそうだが、【タイヤ】の【ゴム】代わりにも事欠かない。【緩衝材】代わりにもなるから優れものだよな。
あれえ?
また無意識に知らない単語が頭に浮かんだぞ?
時間がないから気にしちゃ駄目だ。
それにしても俺の魔力の残りがずいぶんある気がするな。
以前ならあっという間に魔力切れをおこして、確か一度ならず何度か魔力切れで宿の中でぶっ倒れていた気がするが、最近はいくら魔力を消費しても全くと言っていい程そう言った事にはならない。
まあ部屋で寝る前には魔力を無理やり使い切っているから、ほぼ毎日魔力切れの状態で寝る事になるんだけど。
だけど朝になれば魔力はある程度回復しているし、やっぱり謎の知識は正解か?
やはり【異世界あるある】は正しかった。魔力を使い切ればその分最大魔力が増えるってのは正しかったんだ・・・・ってもう突っ込むのはやめよう。
こんな知識が最近頭に自然に入り込んでくる。
これは前世の知識なのか?
そんな事を思っていると弟と妹が俺を呼びに来た。
「くーんにいに!とーちゃんが呼んでいるよ!もうみんな集まったよ!」
「今日は久しぶりにねーちゃん達が一緒なんだ!」
「そうか。もう何年も戻っていなかったのにどうしたんだ?」
そんな会話をしつつ食事をする場所へ。
・・・・
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どうやら深刻な話をするようで、久しぶりに見た姉2人も神妙な顔をしていた。
子供は嫁ぎ先に預けてきたらしく、急いで来たらしい。
俺の作った【キック台車】で移動してきたらしい。
台車が無くなっていたなあと思っていたんだが、いつの間にやら兄達が姉の嫁ぎ先に運んだらしい。
成程そう言う事なら納得だ。
だから素早く戻ってこられたんだな。まあ隣の領地だから徒歩でも数時間で移動できるっちゃあ移動できるんだけどさ。
この際だ、帰りには新たな【キック台車】で戻ってもらおう。あれがあれば子供も連れてこっちに来る事が出来るからな。
何だか悪い予感がするからな。
家族には魔物に襲われて、みじめに死ぬなんて事にはなってほしくないし。
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