第8話 先に食事を済ませ、宿の部屋でやってみる。
さて宿に戻ろうか。
そう思ったんだが、俺ってもう冒険者なんだよな?
一応先程冒険者ギルドで登録はした。何の説明もなかったが。そして俺は待っている間にギルドの建物の一角に何やら掲示板らしきものがあるのに気が付いた。
そして俺は何気なくギルド掲示板らしきものを眺めていたが、その中に全ランク対応の常駐依頼なる物がいくつかあった事に気が付いていた。
用水路の掃除から雑草抜き、建物の掃除等々。
その中で俺の目を引いたのが薬草採取。
見れば怪我に効く薬草・魔力回復の薬草・毒消しの薬草・体調不良に効く薬草等々、クツーゴ領でもおなじみの薬草を採取する事で報酬が得られるらしい。
根が必要だったり葉が必要だったりするが、俺は農民だ。食用の植物から薬効のある植物までみりゃあすぐわかる。ついでに絶対触っちゃいけない毒草なんかもわかる。
キノコ類も大抵判断できる。
ついでに言えば今【土】のスキルを試した時にも周囲に色々な薬草が生えているのが目に付くんだよ。
そうだ、袋がないからスキルで容器を作ってそこに採取した薬草を保管、冒険者ギルドへ運ぼう。運ぶのであれば容器じゃなく手で押せる台車の方が良いな。
俺はまず直接薬草を収納する容器を作り、次に小さな台車をサクッと作りはじめ・・・・お、【空気草】が生えているな。
【空気草】とは台車の車輪に巻き付ける、まあ【自転車】の【チューブ】みたいな役割をしてくれる草・・・・って【自転車】ってなんだ?
そしてそれを二重に巻けば、【緩衝材】の役割もしてくれる。
まあ簡単に言えば車輪にこの草を巻き付ければショックを吸収してくれるから、台車の運搬がしやすくなるんだよな。ついでに幾つか採っておこう。
俺は夕方になるまで薬草採取をした。
ナイフは持っているから葉の採取は楽勝だ。
根はスキルで土堀りの道具を作ってみた。
お!いい感じの【スコップ】だな・・・・って【スコップ】ってなんだ?
これがあれば簡単に土を掘り起こす事が出来るな。
こうして俺は作った容器が一杯になるまで薬草を採取、台車で運搬し冒険者ギルドへ戻った。
・・・・
・・・
・・
・
早速受付の人に常駐依頼の薬草採取をしたと伝え、引き取ってもらった。
年上の綺麗なおねーさんだった。というか何故か綺麗なおねーさん以外受付に人がいないのだがどうしてだ?
「あらっ?坊や、今日冒険者になりたてなのにえらいわねえ。しかも採取のスキル無しなのに、鑑定スキルもないのにどうやってこれだけの品質、量の薬草を採取できたのかしら?」
何の事だか知らんぞ。
「俺は農民だ。地元ではこんなの誰でもできる。」
「まあ君、辺境出身なのね。そう言えば最近活躍している男の子も君によく似たお顔をしているけれど、もしかして兄弟かしら?ってそんな事ないわよね。」
「ニールスにいの事か?」
「あら、やっぱり兄弟なのね?最近少数スキル持ちのメンバーが集まってパーティーを結成して活躍しているのよ。君も少ないスキルだから、そう言った所に所属するといいわね。はいこれが今回の報酬ね。何度か依頼を達成すれば冒険者のランクも上がりやすいからまたお願いね。うん、こんなに丁寧に採ってくれた薬草なら高品質のポーションができますからね。ありがとうね君!」
そうかニールスにいは活躍していたんだ。
注:ニールスはたまたまこのお姉さんの担当。
因みによくわからんが賞罰の所に数値が記載されていた。+1
これがいくつか集まればランクが上がるらしい。
さらに言えば悪さをすれば減るようだ。マイナスになっていると依頼が受けにくいうえに、場合によっちゃあ国からお尋ね者にされてしまうようだ。気をつけねば。
そして金だ。
25、000ゼニーと出た。
注2: 1ゼニー1円と思って下さい。
意外と多いな。
「あのね、普通の人なら一日5、000ゼニーぐらいしか稼ぐ事ができないから、君は頑張ったのよ。またよろしくねえ。」
名前 :【 クーン・カウペル】
性別 :【男】
レベル :【1】
ランク :【F】
年齢 :【10】
住居並びに連絡先:【ロッベモント王国・クツーゴ領】
所持スキル :【土/0】
身分 :【農民】
所属 :【なし】
賞罰 :【+1】
ポイント残高 :【 0】
残高 :【25、000】
とってもフレンドリーで、好感のモテるお姉さんだった。
何というかスキルが一つだからとバカにしない、人格者だな彼女は。
俺はお礼を言って宿に向かった。
しかしこのカード、便利だな。
基本カードで決済だ。
そう言えばクツーゴ領では俺達って一切買い物とかした事なかったから気が付かなかったが、今思えば大人は何かを時たま見せていたな。それがカードか。
現金を持ち歩かなくて済むって素晴らしいな!だが【システム】に不具合が出たらどうするんだ・・・・って【システム】ってなんだ?
俺は王都に来て、スキルを調べて?貰ってから頻繁になってきたこのよく分からん謎知識に困惑しつつ、食事を・・・・宿には食堂が併設してあり、そこで頂いてから部屋に入る。
ああ、台車は持ち込んだ。
そんなに重くないしな。
では早速スキルを試そう。
だが俺はこの時失念していた。
外で【棒】を作った時に頭が痛くなったにもかかわらず、その後立て続けに【容器】【台車】と【スコップ】を作ってしまった事に。
実際分からないのだが、俺が台車なんかを作った対価?は魔力らしい。
魔力は無くなっても自然に回復・若しくはポーション等で回復させる事ができるようだが、精神的な何かか?
これが完全に無くなれば気絶するようだ。
体力が無くなっても頭を打っても気絶すると思うがどうなんだ?
で、俺は魔力切れで部屋でぶっ倒れたらしい。
気が付けば明るくなっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます