第7話 早速スキルを使ってみる

 ニールスにいと別れた後、買取価格の計算が終わったので、そのお金をおっちゃんが受け取りその足で宿に向かった。


「今日は特別に食事も出る。朝もだ。朝食を食べたら出発する。今から出かけてもいいが、夕飯には間に合うように戻れ。遅れたら食事にはありつけねえからそのつもりでな!」


 大人3人は飲みに行くらしい。


 俺は早速外に出た。


 幸い都市の出入りは自由なので、一度王都から出ても夕方に戻る事は簡単らしい。


 なので早速門を出て平原に向かう。

 冒険者のカードを持っていれば、専用の門から出入りできるようだ。

 何せ大門は人の行き来が多い代わりに出る時はいいが、入る時に時間がかかる。


 さて俺が今回ここに来た目的はスキル【土】を使ってみる事だ。

 そういやあ、これって魔法なんだよな?

 魔力とかどうすりゃあわかるんだ?


 【異世界あるある】だとカードに記載があったり数値化してるはず・・・・ってまた変な知識が。


 残念ながらこの世界ではそう言った数値はないらしい。

 まあ経験的にどれぐらい使えるかとかを自分で把握しておく必要があるようだ。


 じゃあ早速土を手にし形を、そうだなあ最初は棒でいいか?やってみよう。


《ふん!》


《えい!》


《どうだ!》

 うん?全く反応がない。

 あれれ?どうすればいいんだ?


 俺は悩んだ。そう言えばみんなはどうやって魔法を使っているんだ?詠唱が必要なのか?

 何やら呪文がいる?そもそも俺のは魔法なのか?

 スキルと魔法の違いは何?

 やべえ!俺そう言うの知らないぞ!

 仕方ない。適当に言葉にするか。


 手を地面に向け、

《持ち上がれ!》


 と言葉に発しても念じてみてもうんともすんとも言わない。

 うーん、困った。


 で、暫く悩むと、

 【逆*言*】と頭に浮かぶ。

 うん?


 なので俺は直感というべき感覚で言葉を発してみる。


《レガアチモヨチツ》


 するとどうだろう。

 地面から少し、ごく僅かだがイメージした土の一部が浮上し始めたではないか!

 おお!これがスキルか?

 じゃあ次は棒状にしてみるか。

《レナニウボ》

 手で長さや太さをイメージして手ぶりを示しながら言葉を発すると、

 土の塊はあっという間に細長い棒状になった。


 わ!便利だなこれ。


 俺は調子に乗ってしまった。

 今度はもっと大きな土の塊を使おう。


 おおよそ10キロほどの重さの土をスキルを用いて確保、そして再び棒状に。

 今度はそれなりに太い。

 次にやってみたいのは、この棒を固めてしまう事だ。

 それもできれば固く、武器として使えそうな強度にならないかと。

 で、これはどうするんだ?

 押し固めたらいい?

 圧縮か?


《クュシウョギ》


 そう念じると、どうやら言葉を発する必要は無いらしい。

 握りこぶしほどの太さの棒がぎゅっと圧縮されていく感じだ。

 見る間に片手で持てる太さになった。但し重いが。


 一寸振り回してみる。

 重い。


 これって必要なくなった場合、土の塊に戻す事が出来るのか?

 再び念じてみる。

《レエカニンメジ》


 するとどうだろう。

 固めた棒があっという間に土に戻って地面に落ちた。


 これは素晴らしい!


 これはもしや、何か作る事ができるのではないか?乗り物とか台車とか。


 しかしこのまま外で作りはじめるのも危ないしな。

 なので俺は再び棒を作成する事にした。

 棒であれば宿に持ち込む事もできるだろう。

 杖と言い張ればいい。

 俺は再び土を取り出し、棒にした。

 そして圧縮。

 終わると何だか頭がくらくらした。

 どうやらスキルを使いすぎたらしい。


 俺は気が付いていなかったが、この頃にはイメージするだけでスキルが発動するようになっていた。

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