もう一度剣道を

@dankop

剣道なんて嫌いだ

「剣道なんて大嫌いだ」


このセリフは小学五年生の時、幼稚園から続けてきた剣道を辞めるときに親にいったセリフだ。

俺は人生なんてつまんない…そう思っていた。君に出会うまでは



俺は安西蒼、中学一年生だ。蒼なんて名前だけど俺はクラスの隅っこの方にいるいわいる陰キャだ。まぁ友達は一人いるが…「雅おはよ」「おう、おはよ」雅は俺の唯一と言っていい友達だ。幼稚園からの仲だ。「蒼、入る部活決めた?」「まだ決めてない。帰宅部ってだめなんだよな?」「そうだね。でも、月一回しか活動しない書道部があるぜ!俺はそこはいる予定」「へぇ~そんなのあるんだ。俺もそこにしようかな」

「ちょっとトイレ行ってくる」「分かった。」

「ジロリ」いきなりクラスメイトの島田政宗に話しかける「えっと…何?」「君ってさ、いま楽しい?」「えっ?」「いや、死んだような目してたからさ。」「はっ?うるせぇよ。何なんだよお前」「別に」「なら、どっかいけ」「そうか…じゃあ最後に一つだけ、もう一回剣道をやらない?」「はっやらねぇよ。てか、なんでそれを?」「お前は、自分の戦った相手を覚えてねぇのか…まぁいいよ俺弱いし」「そうか…だけど悪いが俺は二度と剣道をやるきはない」「分かったよ。けど、俺はお前のこと待ってるから」勝手にしとけそう思った。

だが、同時にうしろめたさも感じた。


「あいつとなんか話してたの?」トイレから帰ってきた雅が言う。「まぁね」「ふーん」「さっきの話だけどさ、お前剣道やんないのまた?」「やんないよ。知ってるだろお前もあのことは」「そうか…けど残念だな。お前剣道やってるときはかっこよかったのにさ」「うるさい」俺は教室から走ってでる。「お前も逃げてるのか?誰かから」島田がまた話しかけてきた。鬱陶しかったので無視をしてると


「今日、学校サボっちゃうか?」「は?」思わず反応してしまう「剣道しようぜ。剣道すれば嫌なことも全部ふっとぶぜ」こいつは何もわかっていない。剣道をやることが嫌なことなのに…

「ちっじれったいやつだな。ほら来い」そう言い無理矢理、俺の手を握り学校の外へ連れ出される。




「ここは?」俺は訳のわからないところに連れてかれた。「俺の行ってる剣道場だよ」「とにかく入れ」「なんじゃ…また政宗か。なんど学校をサボるなと言ったらわかるんだ。」「分かってるって。それよりも友達連れてきたよ」「ん?友達まで巻き込んだのか」「俺さ、こいつと友達になりたいんだ。だから一緒に剣道をしに来た。じいちゃんだって言ってるだろいっつも 稽古を一緒にして汗を流せば誰とでも友達になれるって。」「まぁいい。勝手にせぃ」「あんがとよ、じいちゃん」俺はなにも話してないのに勝手に話が進んでいく。「俺は剣道なんて…」


剣道なんて…

そんな言葉を俺に言う資格なんてない

「剣道なんて…、なんだよ?そこに剣道用具全部あるから。手ぬぐいは俺のお古だけど勘弁な」俺は一体何がしたいのだろう





そう思うとまた逃げてしまった。この道場から



道場からから出たときだった。



「また逃げるのか?」そこにいたのは雅だった。「なんでここに?」「お前と親友だからだよ。」「そんなの訳わかんないよ。なんで?さっきも俺逃げたのに」


「さっきも話しただろ。お前と親友だからだよ。俺はまたお前が剣道をしてる所をもう一回見たいよ。剣道をしてるお前は誰よりもかっこよかった。そして輝いてた。もう誰もあのことも逃げたことも怒ってないよ。」雅の怒った姿を見たのは初めて…いや二回目か。




一回目も雅の怒りに助けられた。




俺は小五まで市内では必ず一位、県内でもトップ三に入るようなやつだった。けど市内の小学生との一回戦

「蒼!竹刀の審査してもらったの?」剣道では安全のため竹刀の審査が毎回おこなわれる。けどそれはとても面倒臭くこの日俺は「したよ」と嘘をついてしまった。そして大会が始まり一回戦で竹刀にささくれがあり相手の顔に突き刺さってしまったのだ。幸い相手の怪我は軽症ですんだが俺はその日から剣道をしてはいけない人間だと思い。剣道を辞めてしまった。


そして学校にも行かず家で引きこもっていたとき雅が家に訪ねてきた。

「入るぞ!」「入るな」ガシャ「ちょっと失礼」雅は俺のことを叩いてきた。「これで少しは目が冷めたか?」「何すんだよ」「分かってるだろ?このままじゃダメだって。このまま何もしないと色々な人に迷惑かけるんだ」雅は大人だ

俺がなにか間違っているとそれは直してくれる。

雅の言葉で俺は学校にまた行けるようになった。








「さぁ戻ってやってこいよ剣道」

「で、でも俺の傷つけた子は俺を許してくれない!」「そんなことねぇよ」島田が言った。「そんなこと分からないだろ!」「分かるよ。その傷つけられたダサい奴俺だもん」「えっ?」「俺怒ってないよ。それにあれは俺が弱かったのもいけなかっから…」そんなの、俺は…「もう誰もお前のこと怒ってなんかない。お前だって本当は剣道したいんだろ?」「そうじゃなきゃ、俺の手だって振りほどいてただろ?」そうだ…俺は弱い人間だ。でもみんな言ってくれてる。剣道をしようって。俺は…「やる。一緒に稽古がしたい!」「ふっいいぜ来いよこっち」俺はこれから前を向いて歩いていけるだろう。それに人生も楽しくなりそう。そう確信した。そして…俺は今、剣道のことが





大 好きだ







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