1-2.思春期はつらいよ


──放課後の教室…



「なぁ、聞いた?!2組の安達、昨日彼女とヤッたらしいよ。笑」

「うーわ、まじかー……。いーなー……」

「俺も早く童貞卒業してぇー」


 思春期真っ只中の男たちが集まれば、しょっちゅうこうゆう話題になる。


 俺が黙って聞いていると……


「おい、柊!お前はどーなんだよ!?」

「さっさと成瀬に告っちゃえって!」



 そんな簡単に告れたら苦労してねーっつーの。


「柊……お前さぁ、何をそんな躊躇ってる訳?!」

「誰がどう見たって両想いだろ。笑」



 そりゃ付き合えるもんなら付き合いたいよ…?


 でも……もしもフラれたら……



「……俺もいろいろあんだよ」



 今の幼馴染の関係性は、確実に崩れるんだろうな。



「つーかさ、柊が成瀬のこと好きだっつーから、俺せっかく諦めたのによー」

「モタモタしてると誰かに取られるぞ?」

「つか高校行ったらソッコー彼氏できそうじゃね?!」

「違う高校行ったら柊も牽制できねーしな〜?笑」


 高校……か。

 そういえば、まだ考えてなかったな。


 亜妃と別々の高校に行って……

 亜妃にもしも彼氏が……


 あ゛ーー…そんなん無理。

 まじで俺、絶対耐えらんねぇわ……。



「ま、なんだかんだ付き合うんだろーけど」

「いーなー、俺も成瀬とヤリてぇー!」

「顔かわいーし、スタイルいーし。柊、お前まじで羨ましすぎんぞ!?笑」


「あいつ声も可愛いからヤッてると……き──

 っいっでぇ!!」

「……おめーら、亜妃で変な妄想してんじゃねーよ」

「っ痛てーよ!ツネんな馬鹿!」

「ほーほー、柊さんお怒りでーす!笑」

「そんなん言うなら早く告れー!」



 俺だって出来ることなら、一刻も早く亜妃と付き合いたい。


 亜妃と付き合って……

 あんなことやこんなこと……。

 つーか、亜妃って……脱いだらどんな……?




────あ、やっべ……。



「るせーよ、部活行くぞー」


 吐き捨てるように言って、平然を装いトイレへ。




「──…いってぇ……っ」



 ぶっちゃけ亜妃の裸なんてチラッとでも想像しただけで、一瞬で反応してしまう俺の下半身……。



 勃ちすぎてめちゃくちゃ痛い。


 あーもー……早く鎮まれ……。


 トイレの個室で、ひたすら深呼吸を繰り返す。





──やっと落ち着いてトイレから出る……と。



「あ、柊」



……おっと……、ご本人様ご登場です。



「おう」

「これから部活?」

「うん、今から行くとこ」

「そっか。私、今日はパート練習なの」


……てことは、今日もあの教室にいんのね。




「頑張ってな」

「うん、柊もね」


 じゃあまた帰りね、ってキラッキラの笑顔で立ち去る亜妃。


 あー…やっぱいつ見ても、最強に可愛い。


 とりあえず……高校、亜妃はどこに行くつもりなんだろ?

 今日帰りに聞いてみよ。



 同じ高校、行けたら良いなぁ。



 告る勇気はまだ出ないけど……


 せめて幼馴染のままでも良いから、ずっと亜妃の側にいさせてください。



 どうか……お願いします。



 柄にもなく神様なんかに祈りながら、俺は部活へと向かったのだった───


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