第十二話
小鳥のさえずりが鳴り響いている。少女は目を覚ますと、ふかふかな白いベッドの上で横になっていた。ベージュ色の天井と小さなシャンデリアが彼女の視界へ真っ先に入ってくる。
「……?」
少女はゆっくりと上体を起こした後、首を左右に振って辺りを見渡した。六畳ほどの部屋には小さな机と椅子だけでなく、色とりどりの書物が収納されている本棚が設置されている。どれも木工作りであり、簡素だが鮮やかな装飾が施されていた。出入り口を隔てる扉の反対側には四角い窓が設置されており、ベッドに寝ながらでも外の景色を眺めることが出来る。
「……。」
呆然とした様子で、少女は窓から見える外の景色を眺めていた。花壇に植えられた色鮮やかな花々や、緑の森から顔を覗かせている様々な小動物。鳥たちが行き交う雲一つない青空や、遠くに映る雄大な大山脈。少女にとっては何もかもが初めて見る光景だった。
——コツ コツ コツ コツ
少女がベッドの上に座りながら窓の外を眺めていると、扉の先から足音が聞こえてきた。何者かが部屋に近づいて来ているようだ。足音に気付いた少女がシーツを握りしめながら警戒心を強める。彼女が出入り口の扉へと顔を向けた時、扉が静かにゆっくりと開いた。少女の紅い瞳と宝石のような碧の瞳が交わる。碧の瞳を持つ金髪の男性はニコリと笑顔を浮かべると、少女に向かって声を掛けた。
「ごきげんよう。気分はどうだい?」
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