第33話 ハーレムバスタイム


 そして脱衣所に到着すると、信長が倦怠感漂う表情で眉根を寄せた。


「お前ら、さっきから何してんだ?」


 そこには、フンドシとサラシ以外、何も身に着けていない利家と慶次が、ぎこちない笑みでお互いを牽制しあう姿があった。


「ど、どうしたのよ慶次、は、早く脱ぎなさいよ」


 信長のほうをチラチラ確認しながら、利家が慶次へ促せば、


「お、お姉ちゃんこそ、早く脱げば? あたしは、お姉ちゃんが脱いだら脱ぐから」


 と、慶次が利家の顔色をうかがう。


「ぬ、脱ぐわよ、脱がないと、お風呂入れないし」

「あたしだって、脱ぐもん」


 ふたりは豊満過ぎる巨乳を隠すサラシをゆっくり、ゆっくりとゆるめるが、わざと時間をかけているのは明白だった。


 ふたりがサラシをゆるめるごとに、たわわな巨乳が揺れ動き、サラシが内圧に負けはじめる。その淫卑な光景は見ごたえがあるが、せっかちな信長は斬新な案を閃いた。


「よくわかんないけど先に脱ぎたくないなら、ジャンケンして負けた人が脱ぐ。二回負けた人は全裸で、そうでない人は体に手拭を巻いて入れるってのはどうだ?」


 信長の絶妙な言葉選びには気づかず、利家と慶次は快諾する。


「いいじゃないそれ。じゃあいくわよ慶次」

「望むところだよお姉ちゃん。はい最初はグー、ジャンケンポン! わーい勝ったー♪」

「くっ~」


 悔しそうに歯を食いしばりながら、利家はサラシを解いた。もちろん、左腕で豊乳の頂点は隠し、信長の視線からは逃れる。


 ――おぉ、相変わらず凄いおっぱいだな……本当に、どうしたらあんなに育つんだよ。


 利家との熱い夜を脳裏に浮かべて、信長は両手に焼き付いた、豊乳の感触を思い出して頬がゆるむ。


「次は負けないわよ慶次、はい最初はグー、ジャンケンポン! よし勝った!」

「ッ、くっくっくっ。まぁ一度くらいは華を持たせてやらんとな。行くぞ、邪眼解放! これで貴様の次なる手を暴いてみせよう。勝利は我にありぃ! はーはっはっはっ!」


 慶次は胸のサラシを脱ぎ捨てると、続けて右目の眼帯を外し高笑う。そして、


「ねぇ慶次、あんたその眼帯を一枚に数えればサラシは脱がなくてよかったんじゃない?」

「はにゅ!?」


 左腕で巨乳を隠したポーズのまま、慶次はとてもかわいい顔で硬直した。


 ――あぁ、本当に慶次はバカワイイなぁ。それにしても……。


 信長の視線は、慶次の愛らしい顔からその胸元へと落ちる。


 信長と利家よりもひとつ年下の少女ながら、両手を使っても収まりそうにないほど発育の良い巨乳はみずみずしく張りがあって、実においしそうだ。


 ――姉妹そろって、何を食べればああなるんだか。


 小ぶりなスイカほどもある慶次の巨乳と、利家のスイカ大も豊乳を見比べて、信長は色々とよろしくない妄想を膨らませる。その妄想を実現するために、信長はふたりの手の動きに注目した。


「じゃあこれで最後よ慶次」

「わかっているよお姉ちゃん。最初はグー、ジャンケンポン!」


 突き出された手は、パーとチョキだった。


 パーを出したのは利家…………と慶次で、チョキは……。


「俺の勝ちだな。じゃあふたりとも、下も脱いでもらおうか」


 平成でいうところのⅤサインよろしく、信長はチョキをかざしてみせる

「ちょっとノブ! なんであんたが出てくんのよ!」

「いまのはあたしとお姉ちゃんがパーで引き分けですよね!」


 と、当然ふたりは文句を言うが、信長は口角を上げ、下卑た声で返す。


「何言ってんだよ。俺はちゃんと『ジャンケンして負けた人が脱ぐ』『二回負けた人は全裸』って言ったぞ。誰と誰が、とは言ってないだろ?」

「「あっ」」


 ぽかん、と口を開けたまま固まる美少女ふたりの下着――フンドシの前垂れ部分――をつかむと、信長は笑顔で、


「ほんじゃ、約束通りッ!」


 ぐいっと一気に引っ張り、白い縦布が、ふたりの股間に食い込んだ。


 途端にふたりの口から甘い嬌声が漏れ、反射的に両手で股間を押さえ、信長に抵抗する。


「ほらほら抵抗しないで脱いだ脱いだ♪」


 リズミカルに下着を引っ張りながら楽しむ信長に、幼馴染の少女たちは豊満すぎるおっぱいを隠すのも忘れて、その場に尻もちをつき、床の上で身悶えた。


「やぁああん! だめぇっ! ノブのバカぁ! み、見えちゃうよぉおおおお‼」

「あぁッ! 食い込んで! やぁ、あッ。そこは、そこだけは見ないでぇええええ‼」


 ふたりの動きに合わせて、巨乳と豊乳が特大の豆腐のようにぶるぶると震え、跳ね弾み、桜色の軌跡を宙に描いた。視線の先で、四つのおっぱいが踊る光景に、信長は感動すら覚える。そして人は、己の感動を他人にも伝えたいものである。


「ぬぉおおお! なんて躍動感溢れるおっぱいなんだ! 巨乳で美乳、豊乳で美乳、本当にふたりは極上おっぱい、略して極乳だぁああああ!」


 ようやく捨て置かれた惨事に気づき、ふたりは反射的に両手でおっぱいを抱き隠す。


「いやぁん! 丸見えなの忘れてたぁッ!」

「みみ、見られた! あたしの大事なの、ノブ兄にぃッ!?」


 そして両手を離したことで拮抗していた力関係が崩壊。下着の縦布がふたりの股間に、あらん限りの力で食い込み、締め上げた。


 その感覚が下半身から腹部を通り、脳髄へと駆けあがり、ふたりは雷に打たれたように、床の上で背筋を逸らした。同時に限界を迎えた二枚の下着は、しゅるりとほどけて、ふたりの股間から抜き取られる。


「「ダメェッ!」」


 反射的にふたりは両手で股間を隠すがもう遅い。乙女の秘密を守る最終防衛線は、信長の手のなかにあるのだ。

 信長は魔王的な笑みを浮かべ、喉の奥から不気味な声を漏らすと、両手の下着を背後へ投げ捨てる。これで、ふたりが下着を取り戻すことは不可能になる。


 愛する人の前で、とうとう一糸まとわぬ姿になってしまった姉妹は、両手で胸と局部を隠しながら、お尻を床に下ろした格好で戸惑い、自分たちの行く末を案じた。すると、


「そういえば俺も風呂に入るんだから、俺も脱がないとな」


 言って、信長は手早く着物を脱ぎ捨て、フンドシもうしろへ投げ捨てた。


「「ッッ!?」」


 利家と慶次が息を呑む。顔を倍も赤くする。両手でその顔を隠しながら、指の隙間をしっかり開ける。


 信長のフンドシのなかは、男なら当然の反応を示しており、慶次は小声で『じゃしんりゅう、さま』とつぶやいた。


 そして天井へと咆哮をあげる邪神龍が、さらに最終形態へと移行すると、ふたりは信長の視線の先に気づいた。彼女たちはいま、両手を顔に当てている。つまりは、丸見えだ。


「「あぁあああああああああああああああああああああああああああああ‼‼‼」」


 ふたりの絶叫が重なるなか、信長は何にも代えがたい達成感に息をついた。

  

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