第14話 新選組VS立花誾千代
そして直人に薙刀の刃が到達する前に誾千代がそれを刀で受け止める。
「なにやってんだよ山崎!そんな女さっさと殺しちまえよ!!」
山上の怒鳴り声に山崎は唸り声を上げ、薙刀を振り回す。誾千代はその全てを刀できれいに受け流すが山崎の一撃一撃があまりに重いため、防御に精一杯でなかなか攻撃にうつれない。山上は勝ち誇った顔で。
「ははははは、なんだよ直人、お前のスレイヴ、さっきから防御ばっかで全然攻撃できてねえじゃん、山崎、その女を殺したら今度は直人だ!!」
と言い、山崎がさらに激しく誾千代を攻撃した次の瞬間、誾千代の目の前に直人が現れ、山崎の攻撃を木刀で受ける。しかしその衝撃で直人は誾千代ごと後方へ吹き飛ばされる。
「・・っ・・直人、あなたは一体何をやっているんですか!?」
直人のあまりに無謀な行動に腹を立て、怒鳴る
衝撃を受けた胸元を押さえながら直人は答える。
「いや、だってやっぱり、女の子が闘うなんて駄目だ・・・」
その言葉に誾千代は顔を赤くし、怒る。
「あなたはまたそのようなことを・・・・!!」
「それに誾千代、負けそうじゃないか、俺も戦うよ!」
すると誾千代は直人をにらみ、はっきりと言う。
「直人、あなたには悪いですが、あなたが戦うと戦いの邪魔です!」
「なっ・・・・」
直人はあまりのショックで言葉を失うが誾千代はそのまま追い討ちをかけように続ける。
「この戦いにおいて家臣(スレイヴ)は主(ロード)を守りながら戦わなければならないのに、あなた自身が戦ってどうするのですか!?それこそみずから弱点をかかげ戦うようなものです!それに、弱い現代人のあなたが過去の戦士(スレイヴ)に勝てるわけがないでしょう!!」
その言葉に直人は何も言わずただ下をうつむく、木刀を持っていない左の握りこぶしは悔しさと情けなさで震えている。
「いけえ、山崎、直人を殺せ!!」
山崎は一瞬のうちに距離を詰めると直人に斬りかかり、それを誾千代が再び防ぐ。
「貴様、家臣(スレイヴ)は私だ、直人を狙うのをやめろ!」
すると山上はおかしそうに吹き出す。
「お前バカじゃねえの?スレイヴはロードのおかげで本来の力が発揮できる、なら先にロード殺してからの方が楽じゃねえか」
「そういうことを言っているのではない!これは史上最強を決める戦士と戦士の真剣勝負、それにそのような・・・・」
「卑怯とでも言いたいのか?」
山上は人を見下したような表情で続ける。
「やっぱお前バカだな、史上最強?真剣勝負?これはスポーツじゃねぇ、殺し合いなんだよ、殺し合いにルールもクソもあるか、どんな手を使おうと生き残った奴の勝ちなんだよ!!」
山上がゲラゲラと笑うと誾千代は怒りで手を震わせ、鋭い眼光を山上に向ける。
「どこまでも腐った奴だな!!」
誾千代が山上に気を取られている間に山崎は誾千代に斬りかかる。すると誾千代は刀身の根元の柄を切り裂き、薙刀をただの棒へと変える。
続けて脳内の電気信号を操り、筋肉の抑制を外し、強化された力で山崎を蹴り飛ばす。
山崎は後方へ飛ばされ、道に停めてあった青い車に激突し、車は半壊する。
次の瞬間、誾千代は大きく跳躍し、すでに山崎のすぐ近くにいた。そのまま山崎を車ごと刀で串刺しにすると体内で作り出した雷を山崎の内臓に直接叩き込む。
山崎の叫び声と共に二人の体が発光、車は爆発し二人は爆炎に巻き込まれる。その様子を見て山上は腰を抜かし、その場に座り込んだまま口をパクパクと動かし怯える。
「そんなバカな、山崎が女に負けるなんて!?」
直人は誾千代の安否を確かめるために爆炎に駆け寄ろうとする。
しかし煙はすぐに晴れ、彼女の無事が確認できた。そして車の上で倒れている山崎の体は半透明になり、時間の歩みと共にその姿は虚空に消えていく。
誾千代は山上にゆっくりと近づき、山上は怯えながら後ずさる。腰は抜けたままで立ち上がることはできない。
「くそう、女のクセに、女なんかに、俺は強いんだ、お前みたいな奴に・・・」
山上は怯え、もう錯乱に近い状態でまくし立てる。
誾千代は意思伝達のためではなく攻撃のような声を張り上げ叫ぶ。
「ならば貴様の強さは女以下だ!!!」
誾千代の拳が山上の腹部を襲い、山上は地上数センチの所を真横に飛び、道路標識に背中を強打する。背骨が折れているかはわからないがしばらく入院することは確実だ。
すると誾千代の鎧と刀が消え、いつものTシャツとジーンズ姿になる。
「直人、敵を倒しました・・・・」
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