3.まさかの提案。
ひとまず絵麻を風呂に入れ、その間に俺と両親はリビングへ。
先ほどの一件について説明したのだが、とかく二人は「分かったから」とか「仲が良いんだね」とか、本当に理解しているのか不明瞭だった。
俺は大きなため息をつきながら、とりあえず今後のことについて話そうとする。だが、それより前に親父がこう言うのだった。
「そうだ、良いこと思いついたぞ!」
「…………は?」
いやいやいや。
そんな満面の笑みで言われても。
息子としては、嫌な予感しかしない。そして、
「なんだよ、急に」
「二人はずいぶん仲良しになったんだろう? だから――」
その予感は、見事に的中することになるのだった。
「明日はせっかくの休日だ! Wデートしよう!」――と。
◆
――というのが、昨夜のこと。
翌日の朝、俺と親父はなぜか一緒に駅前にやってきていた。
鼻歌交じりに恵梨香さんを待つ父に対し、どうにも乗り気になれない息子の俺。どうにも、勢いに押されてしまった気がしてしまっていた。
「なぁ、親父。帰ってきたばかりで、疲れてるんじゃないのか?」
「なんだ、拓哉。父を心配してくれるのか?」
「…………いや、別に」
やんわりと、中止の意を示してもこんな調子。
俺は大きなため息をついてしまった。そんな時だ。
「お待たせしました」
恵梨香さんの声が、聞こえたのは。
「やあ、待っていたよ」
手を挙げた親父の視線の先には、よそ行きの格好をした義母。
そして――。
「あの、似合ってるかな……?」
可愛らしい服装の、絵麻の姿があった。
先日あげたマフラーを首に巻いた彼女は、どこか恥ずかしげに微笑んでいる。そんな表情を見てしまうと、どうにも中止にするわけにはいかなそうだった。
こうなったら、腹を括るしかなさそうだ。
「……分かったよ」
俺はそう言って、自然と絵麻の手を取る。
親父もそれに倣うようにして、まさかのWデートが始まったのだった。
――――
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