7.クリスマス当日の夜に。

今回短いので、一日四話投稿です。

第1章終了! 応援よろしくお願いいたします!


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 ――帰宅後、絵麻の部屋。



「お兄ちゃんからの、プレゼント……」



 床に座った絵麻は、拓哉から貰ったマフラーを抱きしめていた。

 彼にとっては寒そうにしていた彼女に対して、何の気なしにあげたものだが、義妹にとってはとかく大きな意味がある。

 絵麻はずっと、兄という存在に憧れていた。

 早くに両親が離婚してから、母である恵梨香に迷惑をかけないように振舞う。そんな日々を延々と続けてきた。そんな生活の中で、いつしか少女には夢ができた。



『甘えられるお兄ちゃんが欲しい』――と。



 女性相手では、どうにも母親を思い出してダメだった。

 だったら、異性である兄ならどうか。そう思い始めたのだった。

 そのため絵麻にとって、今年のクリスマスは特別なもの。母親の再婚の話を聞いた瞬間に、胸が躍ったのを覚えている。

 そして今日、兄になった少年は想像以上に頼れる人だった。


 まだまだ、あどけなさの残る顔立ち。

 でも自分より体格に勝る相手に対しても、毅然として立ち向かう。そして、そんな彼から貰ったマフラーはもう、絵麻にとって宝物に違いなかった。



「えへへ……っ!」



 まだ物が揃わない部屋の中。

 少女は小さく笑って、マフラーを首に巻いた。



 そんな、クリスマスの終わり。

 そしてこれが、二人の物語の始まりだった。



 




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