〇受け入れるべき意見、受け入れないべき意見



 今回の話は、「カクヨム公式Discordに行ってボコボコにされた話」と「ちょっと待って!それって本当にカクヨム投稿がベスト?」の総括のような内容になります。


 前者は鞭寄り、後者は飴寄りという違いはありましたが、意見に変わりはありません。ならばどちらも受け入れなければならなかったのでしょうか? よく「忌憚なき意見はすべからく受け入れなければならない」といった主義主張を耳にしますが、今回の件を受けて個人的にこれは違うのではないかと思いました。


 前者はタイトル・キャッチコピー・キャプションを(おそらく)斜め読みして、「タイトルなにこれ? 意味分かんないしキャッチーじゃない」「『死神現象』ってなに? 現象なのに怪物なの?」「(異能力と書いているにも関わらず)【ココロのウタ】で怪物倒せるなら、録音してずっと流してればいいじゃん」「ていうかボカロで小説書いてなんになるの?」(ログを取っていたわけではないので、少なからず私怨も入り混じっている可能性が高いです)……といった、アドバイスというより揚げ足取りに近かったと記憶しています。

 対して後者は、まだ冒頭の読み込みではありましたが「この作品の肝に『選曲の妙』があり、『pixiv』や『ハーメルン』の方が日の目を見る可能性が高いです。ターゲット層が少ない『カクヨム』で出してること、そして土俵違いを意識していないスタンスが現状では一番の大問題です」と、なにが一番問題なのかを鋭く指摘してくださいました。


 ……果たして、どちらの意見に実があるでしょうか?


 フォローしておくと、前者は口さがないことを差し引けば、決して的外れな意見ではありませんでした……だとしても、正論だからと棒を振りかざし、公的な場にも関わらず集団でボコボコにすることをアドバイスだとは思えませんでした。

 逆に後者はクローズドな一対一の場でのアドバイスだったのもありましたが、根底には「大切な作品を共に大切に思ってくれている」「『この作品が評価されるにはどうしたらいいか?』を本気で考えてくれている」という思いやりがありました。中身はズバリ正論でしたが、むしろ目から鱗が落ち、新たな視座を獲得した心持ちになりました。

 どちらがより効果的なアドバイスであったかは……言うまでもありません。


 誤解なきよう言っておくならば、優しい意見が正しいということではありません。時にはおもんばかっているからこそ厳しい、耳が痛くなる意見もあるでしょう。けれどもそれが真に自分の作品を思って伝えてくれているのであれば、一聴する価値はきっとあるはずです。


 極端な話をすると、「正論だからといってすべてを聞き入れる必要はない」ということです。中には正論で反論できないことをいいことに、容赦なくボコボコにしてくる人も多くいます。ですが、それに対して心を痛める必要も、耳を貸す必要もありません。相手は真剣なアドバイスをしたいのではなく、暴力を振るいたいだけなのですから、そこから逃避するのは心の安全性を確保するうえでも当然の行動です。

 小説を書く際に必要な情報を取捨選択しているのと同じように、自分に必要な意見も鋭い目で見極めていきましょう。


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