〇怪奇!読み合い自主企画の罠


 今回は特に備忘録的な内容、要は筆者個人の体験談になります。


 既にこのような創作論を読んでいるような方には釈迦に説法かもしれませんが、一応前置きとして自主企画に関しても補記しておきます。

 『自主企画』とは、ユーザー主催の投稿祭のようなカクヨムの機能です。動画の投稿祭と大きく異なるのは、既に発表された作品でも企画趣旨にそぐうものであれば参加できます(参加するだけならばなんだろうが構わないわけですが、あくまで礼儀作法として)。


 その中でもタイトルにある『読み合い自主企画』は、参加作品同士を読み合ってPVを増やす、気に入ってもらえれば評価してもらえる、あるいは自主的にはなかなか触れないジャンルを読む機会になるなど、様々なメリットがあります。かく言う筆者も、自作の定着読者の中には過去に参加した読み合い企画からの方もいます。


 これだけならばいいこと尽くめの企画ですが、それで終わらないのが世の常。光があれば闇がある。様々なメリットの裏には、隠されたデメリットがある。

 つまるところ、それが今回筆を執るに至った理由でもあります。


 先日、とある読み合い企画に参加していた時のことです。様々な作品をつまみ読みしたり、じっくり読んだりして、「さあ新たに参加した作品はあるだろうか?」とブラウザを更新して――


 企画が終了した? いいえ、企画終了のタイミングにあたるのは日付が変わる時。企画が終了しても終了ページは残るので、突如跡形もなく消えることなどあり得ません。そもそも企画終了まで幾らかの余日があったのを確認していました。


 では何故、企画は突如消滅してしまったのか?

 ……答えは至極簡単。「企画主催者が削除したから」に他なりません。


 なにか不都合があったから削除した……その可能性も大いにあるでしょう。しかし、その主催者が他の読み合い企画に間を空けずに参加していたのを踏まえると、「参加や読み合いが落ち着いてきて実入りが少なくなったため、他の新規で活発な読み合い企画に移ろうと、後腐れないよう企画を消した」という線が有力な予想ではないかと思われます。


 個人的に、今回行き遭った利益追求主義的な行為に対しては、正直強く非難できません。そんな筋合いはないというのが本音でしょうか。

 それこそ企画趣旨に規約違反の内容を書く、大言壮語を並べて約束を守らず消え失せたのであれば、通報に足る蛮行だと思います。けれどもそういった不履行がなければ、あくまで常識的な利用の範疇です。開催期間が予定通りになるとは限らないのもまた、当然の出来事ですから。


 しかしながら今回の一件で、筆者は曲がりなりにもその主催者の作品を魅力的だと感じましたが、残念ながら続きを読む気力はすっかり失せてしまいました。


 主催者は評価をたんまりと得たのかもしれませんが、読者は一人、確実に失ったことになります。

 果たして天秤は損と益、どちらに傾いたのでしょう。

 そして同じように作品投稿されたり、企画参加されたりする方は、今一度「評価と読者への誠実さ」について考えてみてください。


 まあ結局のところ、一番堅実な企画参加方法は「誠実な自分が企画を運営すること」なんでしょうけれど。


 ……そしてこれは余談ですが、上記の一件から察せられるとおり、「評価が多い=良作」とは限りません。

 とはいえ、この手の方式は動画でも絵でも投稿、評価されている現代においては、自然の摂理と呼んでもいいものです。もしこれを読んでいる読む専門の方は、是非とも星の数に惑わされずにタイトル、キャッチコピー、キャプションなどから、自分のお眼鏡に適う良作を見つけてください。


 実はこれを書いている現在、筆者作品内で一番評価されているのは「読み合い企画へ積極的に参加していない作品」だったりするのもまた、創作の難しい最たる点なのかもしれません。

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