〇種から設定を作る
前章で生まれた作品の種である『ジャンル』と『テーマ』を融合させ、「どんな世界観で」「どんな人物が」「なにをするのか」を掘り下げて作っていきます。
ジャンル『異世界ファンタジー』×テーマ『温泉』であれば、勇者が傷を癒す秘境の湯治場といった世界観が生まれ、ジャンル『現代ダークファンタジー』×テーマ『アイドルもの』であれば、ライバルプロダクションに丑の刻参りするのも辞さない悪溢れる芸能界といった世界観が生まれます。こういった組み合わせは、仮面ライダーが毎年新機軸を生み出してくるので、とても参考になります。
次に、その世界観にいそうな登場人物のポジション、好きなキャラクターのビジュアル・設定などを引き出します。前述の『異世界温泉』であれば、旅館に勤めている異種族の従業員、『現代ダークアイドル』であれば、悪でもって悪を征す呪術系アイドルが作り出せるでしょうか。
「こんなキャラがいるなら、こういうポジションだろうな」「このポジションにいるなら、こんなキャラだろうな」と、この二つの順序は前後してしまって構いません。登場人物の増減、ポジションの変更で原案と異なった形になったとしても、書いていてモチベーションが上がる要素は多いに越したことはありません。むしろ作っているのは草案、あるいはパイロット版くらいの気持ちの方が、作っていて気負わずに済むのではないでしょうか。
ここで鍵となるのは、「こうだったらいいのに!」という気持ちです。
言い替えれば「どうして○○は××じゃないんだ!」となります。
前述のは例として引き出したものなので、仏作って魂入れずかもしれませんが、前者は「異世界特有のグルメに着目したものは多いのに、どうして宿屋に焦点が当たらないんだろう?」、後者は「アイドルの光やドロ沼の芸能界を描いた作品はあるんだから、その間のピカレスクなアイドルとかあってもいいんじゃない?」といった理由になるでしょうか。
好きであるものを貫くのも大事ですが、上記「こうだったらいいのに!」という好きではないものに対する熱量は、うまく扱えれば二次創作における「ないから書いた」の精神に通じます。互換性の効かない理由は、それだけでモチベーション足り得るのです。
また絵が描ける方は人物画を用意するのも効果的……とは思いますが、いかんせん二足の草鞋を履ける人はそう多くありません。ぴったりなビジュアル像がいれば、既存キャラクターであろうと流用して構わないと思いますが、なかなかいないもの……(まるっきりそっくりな世界観と人物設定でキャラクタービジュアルまでも似せて登場させるのは問題でしょうが、雛形や描き方が異なれば別人足り得ると思いますので、そっくりさん程度に収めるのが無難かもしれません)。
そこで活用するのが『
ここまでで「書けそう!」「書きたい!」と思えれば重畳でしょう。たとえそれが思い込みであったとしても、原動力には他なりませんから。
ただここまでであれば、設定で力尽きるタイプの人はこの程度の設定は、既に多くストックが溜まっているかもしれません。私も当初は同じように、設定だけで作品にするのは諦めていました。前述の流れはおおよそあったものの、やはりそこから一本の作品にするのは骨が折れます。大抵膝を屈する理由がそれです。
では、どうやって「たまたま」書けるようになったのか?
……というクリティカルな部分が、次章の内容になります。
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