番外編 久しぶりに雪が降った日②

「広葵、今日は寒いね~。」


図書室で、本の整理をしていると、日奈がそう言ってきた。


「そうだな。すっごく寒い。」


俺たちの高校の図書室には、なんとも残念なことに、エアコンがついていない。ほかの教室には、エアコンがついているのに、利用者数が少ないとか何とかで、この図書室には、エアコンがついていない。

……もっと図書室に、高校生が興味の持つような本を置けよ‼

そう言いたくなるのだが、俺にそんなことを言う度胸がない。

いつもならマフラーとかを持ってくるのだが、今日は優奈に急がされたせいで、マフラーも、コートも家に忘れてきてしまった。……だから、いつも以上に寒い。ただでさえ、凍えそうなのに、今はもう、それ以上に寒い。


「広葵、私と一緒に、マフラー使う?」


なんともうれしいことに、日奈はそう言ってくれた。

……少し、いや、かなり恥ずかしいけれど、背に腹は代えられない。


「お願いします。」


本当なら、こんな恥ずかしいことをしたくはないんだよ?でもさ、やっぱり寒いのは嫌だって言うかさ、恥ずかしさより、寒さの方が嫌って言うかさ。


「それじゃあ広葵。もうちょっとこっちによって来てくれるかな?」


そう言われた俺は、日奈の方へ近づく。日奈と会話をしているうちに、本の整理は終わり、俺たち二人は、椅子に座っていた。


「あ、ありがとう。」


日奈は、俺が近づくと、自分の手で、俺にマフラーを巻いてくれた。優しく、丁寧に、俺の首を包んでくれた。


「なんか恥ずかしいね。横を見ると、すぐ隣に広葵の顔があって……。」


日奈の言う通り、ふっごく恥ずかしい。横を見ると、すぐ隣に日奈の顔があって。少しでも、日奈の方に頭を傾ければ、あたまと頭がぶつかってしまいそうだ。


「でも、広葵の顔を、こんなに近くで見れるの、少しうれしいかも。」


そう言って、顔を赤くしながら日奈が見せた笑顔は、すっごくかわいかった。



____________________________________________________________________________


この後用事があるので③の投稿は、少し遅くなってしまうと思います。すみません。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る