番外編 久しぶりに雪が降った日①
このお話は、プロローグでの、出来事より前のお話となっています。
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「先輩、見てください‼雪ですよ、雪‼雪が久しぶりに降ってますよ‼」
いつも以上に、うるさい声を出しながら、俺の部屋に、優奈が入ってきた。
……そろそろ、優奈が勝手に、俺の部屋に入ってこれないように、鍵をつけてほしいんだが。
「……そうなんだ。それはよかったな。」
小学生の頃は、雪を見るとはしゃいでいたが、今はもうそんな年ではない。もう俺は高校生だ。そんなものでいちいちはしゃぐほど、子供じゃないんだ。うん。
「……あれ?先輩、雪に興味ないふりして、どうしちゃったんですか?昨日は、『優奈、明日雪が降るぞ‼』とか言ってはしゃいでいたのに。……あ、あの後先輩お母さんに怒られちゃったんですね‼あ、なんだ、そういう事か。」
「おい‼それは言わないお約束だろ‼……それに、俺のお母さんは、お前のお母さんじゃない‼」
……はぁ。せっかく隠していたのに、何でそんなこと言っちゃうんだよ‼今俺絶対、かわいそうな高校生って思われたじゃん。
「はぁ。もうそんなことどうでもいいじゃないですか。……それじゃあ行きましょう。中学校に向けて。」
「……俺は高校に行くんだよ‼」
「ふぅ。……先輩、すっごく寒いですね。」
外に出たとたん、優奈はそんなことを言い出した。
「……それなら、手をつなぐか?」
いつも俺のことをからかってくる優奈に、反撃をしよう‼
そう思った俺は、優奈に向かってそういった。
まるで、彼氏が彼女に語り掛けるように。
「……え⁉いいんですか⁉」
驚いたような顔をしながら、顔を赤くしながら、優奈はそう言ってきた。
……いや、反応としてはあっているんだけど、返答としては予想をしていなかったといいますか。
「そ、それじゃあ先輩、手、握りますね。」
か、可愛い。可愛すぎる。……優奈ってこんなにかわいかったっけ。
「お、おう。」
お互い、手袋なんてものはつけていないので、手と手が触れ合う。優奈の手は、すっごく暖かくて、柔らかくて。握っていると、女の子なんだなって、改めて感じさせられた。
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番外編ということもあり、今回は短めになっております。この後、②、③の方も上げるつもりなので、読んでもらえると嬉しいです。
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