③ー③ は⁉……ちょっと何言っているか意味が分からないんですけど。

「よし、それじゃあ学級委員の二人に挨拶をしてもらうか。……観音寺、雪城、前に出てこい。」


「……え⁉今、先生、僕のこと呼びました⁉」


思わずそう大声で言ってしまった。

……いや、これは仕方ないでしょ⁉だって、知らないうちに、学級委員になっちゃったりしちゃったりしてるんだよ⁉いや、まあ全面的に俺のせいなんだけどさ。


「そうだが。……そんなびっくりした様子をしてどうしたんだ?さっき、観音寺と雪城が学級委員だって、決めたばかりだろ。」


……。すみません、先生。外の景色を眺めていて、全く聞いていませんでした。そう、俺は心の中で謝る。


「……まあいい、二人とも、前に出てきて、目標をクラスメイトに向かって、3分間、熱く語ってくれ‼」


……そういえば、今の今まで忘れてたけど、この先生、熱血教師って噂だったんだよな。思ったより、熱血成分が放出されていないけど。

……いや、熱血成分ってなんだよ⁉

あまりにも予想外の出来事だったため、俺の頭は、こんな風にバカなことをやってしまうくらいにこんがらがってしまっていた。


「観音寺君、大丈夫?私が先にスピーチしておくから、その間に、しっかりと内容を考えておくんだよ?」


俺が混乱していることに気づいてくれたのか、雪城さんは、そう言ってくれた。

……あれ?雪城さんって、意外に優しい人なのか?今までは、怒られてばかりだったから、そんな風に思ったことはなかったし、雪城さんが優しいなんてこと、考えたこともなかったが、案外、こうして接してみると、雪城さんって、優しい人なのか?

だから、どれだけ注意をしても、周りの人から嫌われたり、陰口を言われることがないのかな?

そんなことを考えながら、雪城さんのスピーチを聞く。


「皆さん、改めましてこんにちは、雪城奈由奈です。」


そう言って、雪城さんはクラスメイトに向かって、深々と頭を下げる。

……今まで別に、違和感とか感じてなかったけれど、『奈由奈』って名前、すっごく珍しいよな。初めて聞いた名前だし。……なんか、『那由他』に似ているし。


「私は、このクラスを、楽しむときは、きちんと楽しみ、真面目に授業を受けるときは真面目に受ける。そんなけじめのつけられるクラスに、ルールを守り、ルールの範囲内で、楽しめるようなクラスにしていきたいと思っています。」


『学級委員といえば』

という感じのスピーチなのだが、雪城さんのスピーチは、なぜかそれを感じさせない。


「これから一年間、よろしくお願いします。」


パチパチパチパチ

聞いている人を引きつけるような、スピーチをする雪城さんに対して、全員が拍手を送るのだった。

……俺、この後にスピーチしないといけないってマジ⁉

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