③ー② 委員会決め②
「それじゃあ次は、女子の学級委員を決める。誰か、やりたい人はいるか~?」
先生がそう俺たちに向かって言った。
女子の学級委員とか、マジで俺関係ないじゃん。
……ていうかそもそも先生、これって話し合う必要あるんですか?普通にこんなの、『規律星人』こと、雪城奈由奈さんで決定じゃないですか⁉雪城さんに対抗しようとする人なんていないでしょ⁉
そんなことをのんきに考えていた俺は、この後おこった出来事に、驚くことになる。
……なぜかって?
それは、
「「「はい‼」」」
と言って、女子三人が、同時に起立したからだ。
その三人は、雪城さん、なずな、そして、日奈の三人だった。
……え⁉なんで日奈⁉
思わず大声でそう言ってしまいそうだったので、慌てて両手で口をふさぐ。
いや、マジで冗談抜きにびっくりした。日奈が立ち上がったのを見た時は、マジで雷に打たれたような感じだったよ。本気で。
……。
いや、マジでそれにしても、何で二人は手を挙げたの?日奈は、人と話すのが苦手だから、あんまりこういうのやりたがらないと思うし、なずなさんも、どっちかっていうと、こういうことやるタイプじゃないと思うんだよな~。
実際、去年は委員会なんてもの、入ってなかったし。
「そうか、三人か……。よし、だったら前に出て、演説をしてもらおう。」
まあ、普通に考えたらそうなるよね。……なずなさんはあんまり心配してないけれど、日奈、大丈夫かな?去年、国語の発表の時、カチンコチンに固まっちゃって、発表ができていなかったけれども……。
「よし、それじゃあまずは……陽川からやってもらおう。」
先生はそう言った。
俺は、教卓の方へ向かって歩いていく日奈に向かって、心の中で、『頑張れ』と、そう一言語りかけるのだった。
「……以上で、私の発表を終わりにします。」
雪城さんがそう言って発表を終えると、クラス中から、大きな拍手が雪城さんに送られた。俺の予想に反して、日奈も、なずなさんも、すごいスピーチをしていた。二人とも、すっごくいいスピーチで、目標とするクラス像も、とっても明確でわかりやすかった。それを達成するためのビジョンについても語ってくれたし……。
それでも、それでもやはり、雪城さんのスピーチは別格だった。人を引き付けるような魅力が、聞いていてなんかこう、引き込まれていくようなスピーチだった。
……ともかく、言葉ではうまく表せないくらい、すっごいスピーチだったというわけだ。
「よし、それじゃあ投票してもらう。」
「まず、陽川がいいと思った人。」
先生がそう聞いた。
すると、2人のクラスメイトが手を挙げた。
……。日奈、よく頑張ったね。
「それじゃあ、躑躅がいいと思った人。」
もともと人気があるなずな。……さあ、何票集まるか?
そんなことを考えながら、あたりを見回す。
5票。
……あれ?思ったより少ないな。
「最後に、雪城がいいと思った人。」
大本命、雪城さん。……大本命というか、もう雪城さんで決定なのだけれども。
「30票か。……それじゃあ、女子の学級委員は、雪城で決定だ。……二人とも、立候補してくれてありがとな。」
ちなみに、俺も雪城さんに投票した。……だって、あのスピーチは異次元だったからね。
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