第33話 二次大戦の英雄たち
戦闘機群の中、異様な一機がいた。
その正体はドイツ製戦闘機、ユンカースJu87シュトゥーカ、それも37mm砲二門を搭載型のカスタム・シュトゥーカだ。
これに乗るのは全世界でただ一人、否、二人だけ。
さわやかな美系男子が、前の席に座る男に問う。
「調子はどうだいハンス?」
全身に熱を帯びる男が応える。
「最高だガーデルマン。今日も私は絶好調だよ」
ハンス・ウルリッヒ・ルーデル。
ドイツ第三帝国空軍大佐。空飛ぶ魔王にしてソ連人民最大の敵。
戦車五一九両、装甲車八〇〇両以上を破壊し黄金柏葉剣付ダイヤモンド騎士鉄十字勲章を授けられた男で、片足を失っても出撃し続けた。ガーデルマンはその相棒で後部機銃手であり軍医である。
愛機であるカスタム・シュトゥーカの上には、ギルドマスターのヴァルキリーが飛んでいるが、戦闘機に直接腰を下ろし、愛銃をなでる男が二人。
「今回の猟は、リンゴを落とすのか」
一人は白人男性で、愛用のモシンナガンM87を手に、氷のように冷たいクールな表情を湛えている。
「宝探しか、わくわくするな」
その横で、日本人の男が銃剣や手榴弾といった装備一式で武装したまま、使命感に燃えた顔で遥か彼方の森を見据えている。
シモ・ヘイヘイ。
フィンランド国防陸軍少尉。白い死神。
五〇五人を狙撃しサブマシンガンで二〇〇人を討ち取った最強の狙撃兵。三二人でソ連軍四〇〇〇人の侵攻を食い止めコッラーの奇跡を起こした。
また、アゴを撃ち抜かれても生きている強運の持ち主。
舩坂弘。
大日本帝国陸軍軍曹。生きている英霊。鬼神。
射撃徽章と銃剣術徽章を同時に授けられ、戦場では常に鬼神が如く獅子奮迅の戦いぶりで、撃ち殺され死亡が確認された三日後に蘇生した。どのようなケガでも死なず、瀕死の重傷でも一日か数日で立てるようになる不死身の男だ。
時代を超えた英雄チームがヴァルバトの魅力だが、こうして時代は同じでも出会う事の無かった英傑が手を組めるのもまた、ヴァルバトの魅力である。
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