第27話 メイド服女ガンマン
「やっとメイド服を脱げるぜぇえええええ!」
フェスタ前夜、エイルのギルドホームで、カラミティは涙を流しながらブラとショーツだけの下着姿になった。
「ちょっ、カティ! 直隆もいるんだから!」
「あん? 別にいいじゃねえか」
エイルは必死に直隆の目を隠そうとするが、肝心のカラミティは冷ややかな対応だ。
「ゼノビアがトイチがどうとか書かれた紙にサインしたら、フェスタ中はガンマンスタイルでいいって言ってくれたんだよ♪」
「カティぃいいいいい!」
「ちょっ、ゼノビアあんた何してんのよ!」
直隆とエイルが悲鳴をあげる。
「あら? ワタクシがどうかしましたの?」
「何じゃないわよ! こんなバカで愚かな幼女を騙して心が痛まないの!?」
「痛まないわよ。トサンじゃなくてトイチにしてあげたんだから、いい事をするのってキモチイですわね」
「おいエイル、なんの話しているのかわかんねぇけどあたしはもう大人だぞ! ちょ、ちょっと大きいからってバカにするなよ!」
下着姿で怒るカラミティ。
「あんたはいい加減服着なさいよ!」
「今日は寝るだけだし別に……」
カラミティは視線を、エイルの巨乳に落としてから、自分の胸にも落とす。
「…………上、着るよ」しゅん
「カティをいじめるなよ」
「何よ直隆! あたしが悪いの!? 今のはあたしが悪いの!?」
「悪いよな?」
「ええその通りですわ! というわけでカティの主人であるワタクシに慰謝料として一晩抱き枕に」
「なんでそうな、ちょっ、いやっ、やめっ、あーれー」
エイルは、そう身長の変わらないゼノビアの小脇に抱えられて行く。
ゼノビアに割り振られた部屋へと消えるギルドマスターを見て、直隆は思った。
「ギルドって俺が思っているよりもゆるい組織なんだな」
「いや直隆。たぶんここが異常」
カラミティは溜息をつきながら呟くのだった。
その時、玄関からチャイムの音がした。
◆
「アウ? どうしたんだよこんな時間に?」
カラミティが玄関のドアを開けると、そこにはアオザイ姿のチュウ・アウがケーキの箱を手に立っていた。
「この前のお礼と、フェスタ前の激励と言ったところだ。ゼノビアの名前を協会で調べて、所属ギルドの場所がここだと分かった」
「そっか、なら上がってけよ。おーいゼノビア、アウが来てんぞー」
「いや、上がるなんてとんでもないことだ。気を遣わなくていい。お礼を言ったらすぐ帰るさ」
「そっか」
カラミティがケーキの箱を受け取る。
リビングの方から、ネグリジェ姿のゼノビアが歩いてきた。
「あらアウ、わざわざ来てくれましたの?」
「明日はフェスタだからな。頑張ってくれよゼノビア。特に、あのネロのような輩には負けないでくれ」
ゼノビアは余裕の微笑を浮かべる。
「フッ、当然ですわ。それより、結局貴女は参加しませんの?」
「私はフリ―の英霊だからな、客席から応援させてもらう」
「律義ですわねぇ。でもそういうところ好きよ。でもフェスタは数週間に渡って行われるみたいですし、ギルドへの途中参加が認められています。もしもフェスタ終了までに誰か仕えるべき相手を見つけたら、フェスタで会いましょう」
差し出された手を見て、アウはほほ笑み握り返す。
「ああ、ゼノビア、カラミティ、もしもフェスタで戦う事になったら、よろしく頼む」
アウは、ゼノビアとカラミティの二人と笑みを交わし合い女の友情を確かめ合う。
その頃、直隆の部屋では……
「う~、直隆かくまってぇ~」
「どわ! エイル! 何でお前俺のベッドに入って来るんだよ!」
「だってゼノビアが、ゼノビアが~」
「泣くなきしょく悪い! ったくしょうがねぇな、一晩だけだぞ」
「うえ~んありがとう直隆~、じゃああたしベッド使うからあんた床で寝て~」
「どういう要求だ!」
直隆は涙目のエイルをベッドから蹴りだした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます