第21話 女ガンマン カラミティ・ジェーン
「ふーん、ここがギルドホームというものですのね」
「へー、結構広いな」
エイルのギルドホームのリビングで、ゼノビアとカラミティは珍しそうに中をしげしげと見回す。
「ギルドマスターはベルセルク達と住めるようこういうホームを支給されるのよ」
エイルがちょっと自慢げに胸を張る。ゼノビアは窓枠を指でぬぐい、
「でも、一人で使っていた割には掃除がいき届いていますのね」
「掃除は毎日の日課だもん。これでもアカデミーで家事の成績良かったんだから」
エイルがさらに自慢げに胸を張ると、大きな胸が上下に弾んだ。
ゼノビアのテンションがちょっと上がった。
カラミティが自分の胸を見てうらめしそうな目をする。
直隆が口を挟む。
「っで、なのになんで英霊の接待できないんだよ」
途端にエイルはうつむく。
「だ、だって……英雄色を好むっていうか、えっちなことしようとする人多いんだもん。おかげでちょっと男嫌いになっちゃったわよ」
「お前俺にさんざんしがみついてただろ?」
「あ、あの時は誰でもいいからフリーの英霊探してて、それであの場を誤魔化すのに仕方なかったのよ! ていうかぶっちゃけあんたには慣れたし、別にそこまで徹底した男嫌いじゃないわよ! 仲間にするなら男より女がいいな、とかその程度よ。だからゼノビアとカラミティがベルセルクになってくれてアタシ的には都合が良かったわ♪」
「でもこの前戦った連中の口ぶりだと、問題とか起こしてたんだろ?」
「へぇ、どんなだ?」
カラミティも興味津々で身を乗り出す。
エイルはちょっと恥ずかしそうに、
「えっと……転びそうになったあたしを抱きとめた人の手付きがいやらしくって殴っちゃって、お付きの人が『この紋所が目にはいらぬか』とか言って来たけど三人まとめて蹴り飛ばしちゃったわ」
「「へぇ」」
「あとあたしのお尻さわろうとした奴の顔面殴り飛ばして『この桜吹雪が目にはいらねぇか』って言って来たから『知らないわよ』って言って蹴り飛ばしたわね」
「「ふぅん」」
「あとあたしのふとももさわってきた奴、の隣に座っている奴を犯人と間違えちゃって殴ったわね。『待て、話せばわかる』とか言ってたからボコボコにしてやったわ」
「「そうなのかー」」
「……エイル、たぶんそれ結構なおおものだと思うぞ」
玄関のほうへ続く廊下に立つ人に、エイルが気付いた。
「あ、ジュウイチ、来てたんだ?」
「ああ、アイルに様子を見て来るよう言われてな。えーっと、直隆は結局正式なベルセルクになったのか?」
この時、直隆はコンマ一秒の間に様々な考えが頭をよぎった。
ここだ。
今この場面だ。
今ここでしっかり否定しておかなければ駄目なのだ。
直隆は『いや、違う』と言おうとして、
「ええそうよ! 直隆はあたしのベルセルクになったの! これからヴァルバト協会に行って正式登録してくる予定よ!」
「そしてこのゼノビアの家臣ですのよ! どこの誰か知りませんが、これからワタクシの家臣とよろしくお願い致しますわ」
「あたしら三人で今度のフェスタに出るみたいだぜ? あんたも英霊なら出るのか?」
「そりゃよかった。それと俺はジュウイチ、現代の英霊だ。エイルの姉さんのアイルのベルセルクなんだ。大会にはうちのギルドも出場するぞ。なんせ全ギルド参加推奨だからな。じゃ、直隆」
ジュウイチはくったくのない笑顔で、直隆の肩に手を置いた。
「フェスタでは、正々堂々戦おうぜ!」
キラン、と兵士が戦場で共に送るようなさわやか過ぎるソルジャーウィンクを受けて、直隆は……
「………………………………………………う、うん」
直隆はうなだれる様に頷いた。
こうして、直隆はギルドに加入してしまうのだった。
ほんとうは
ギルドいやだと
いいだせず
くうきをよんで
ギルドかにゅう
真柄直隆、心の短歌。
「じゃ、エイル」
ゼノビアはどこから取り出したのか、メイド服をばっと広げた。
「これを着てくださる?」
「え? なんであたしが?」
「だって貴女はワタクシの家臣ですもの、さぁさぁ、早くカティとおそろいに」
「ちょっ、やめっ」
ゼノビアの手がするっと蛇のような動きでエイルに絡みつく。
慣れた手つきでエイルのヴァルキリー専用戦装束を脱がしていく。ボタンがはずされ、紐が解かれ、飾りがはずされていく。
「じゃ、俺はあっちの部屋に行ってるから」
ジュウイチは笑顔でリビングから消失。
直隆は芸者遊びでもしている気分でエイルを眺める。
もうエイルはブラとショーツのみだ。
「って、なんで下着まで脱がせようとしてるのよ! メイド服着るんでしょ!?」
「いやついでに」
「ちょっ、ゼノビア! 直隆が、直隆がいるから! だめだめだめだめ! ストップやめて、これシャレになんないから」
ゼノビアが、ブラのホックをはずした。
「直隆目ぇつぶってぇええええええええええええ!」
大きなカップ状の布が床に落ちた。
量感溢れる双乳がさらされる。
綺麗な桃色の頂点が直隆の男心をくすぐって、
「やっぱりいい色艶だなぁ」
と感心してしまった。
エイルは頭から蒸気を上げて、身をよじりながら悲鳴をあげる。
でも両手はゼノビアがホールドしていて胸を隠すことはできないのだった。
その頃、玄関にいたジュウイチはリビングからの悲鳴を聞きながら生前をなつかしむ。
「ラッキースケベか。俺も生前は滅茶苦茶日常的茶飯事的によくあったなぁー、ハッハッハッ♪」
その時、エイルのギルドホームに、一つのチャイム音が訪れた。
「ん、誰だろ?」
ジュウイチが勝手にドアを開けると、ガタイのいい兄ちゃんが一人立っていて、
「俺は本多忠勝平八郎。真柄直隆はいるか?」
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