第754話 修行はまだまだ入り口だぞ?
「弟子の人権というのは……」
「あるわけないだろう?」
間髪入れずに答える。
「ですよねー」
「じゃ、修行を開始するぞ?」
竜道寺の肩に手を置く。
そして竜道寺の体内に巡る生体電流を軽く増幅し、竜道寺の肉体内に巡らす。
「――ッ!」
激痛のあまりなのか歯を食いしばる竜道寺。
「どうだ? 体内に巡る痛みが理解できるか? 一応、お前の体が修復できるギリギリのラインで生体電流を流しているが」
「……あ、はい。……な、なんと……か……」
体内に張り巡らしている神経に負荷をかけることで竜道寺の神経に刺激を常に与え続ける。
これが、感度100倍に慣れる前であったのなら、流した途端、ショック死していただろう。
「体内に流れる生体電流、それを呼吸法により強弱付けることで、肉体強化に回すようにする。それを循環させることで、さらに上の次元への肉体強化が可能となる」
「……そ、それって……」
「つまりだな。呼吸法を習得したことは、まだ身体強化の入り口に過ぎないということだ」
竜道寺の肩から手を放す。
「――はぁはぁはぁ……、……し、師匠?」
「今度は呼吸法を行うことで腕輪の力を引き出してみろ。お前の呼吸法と取り込む大気の量、そして戦闘意思に応じて、お前の体内の生体電流を増幅するように腕輪に細工している」
「わかりました」
「おかしな部分があったら都度、修正をするから、まずは自分で考えた通りにやってみろ」
「はいっ!」
呼吸法をある程度は納めたあと、竜道寺には呼吸法と俺が渡した腕輪とのリンクが円滑に行えるように指導する。
回復の呼吸により腕輪の力をある程度引き出せるようになったとは言え、身体強化を行う上では、自身の回復の呼吸による肉体再生能力と、生体電流を流した時に生じる肉体的欠損を釣り合うようにしなければならない。
――指導を開始し200年が経過したところで、ようやく――。
「神滅拳っ!」
竜道寺が声高々に宣言すると同時に、俺が見てる前で、その体に青い稲妻を纏うことに成功する。
「ふう。やっとだな……。とりあえず飯を食って休憩するぞ」
「分かりました」
「伊邪那美」
「もう出来ておる。それよりも――」
青い雷を身に纏っている伊邪那美が少し怒った表情をすると、「自身の肉体を破壊しながら、身体能力を引き上げるなぞ、常人では考えつかぬものじゃな」と、俺を睨みつけるように話しかけてくる。
「別に死んでないから問題ないだろう?」
「そういう問題ではないと思うが……、そのあたりはもう今更と言ったところかのう……ハァー。――で、肉体強化の最終目的である『疾風雷神』を覚えるまで、あとどのくらいかかるのか?」
「そうだな……。このペースだと1万年はかかるか」
「そんなに人間の魂に強度はないぞ!? 何度も言っておるが!」
「それなら、経験を圧縮するしかないな」
「圧縮って……」
「簡単なことだ。夢を使う」
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