第599話

「あと、今後の内閣府直轄特殊遊撃隊の在り方についてですが、各県の支部長が一度、桂木警視監と会いたいと報告が来ています」

「ふむ……、顔合わせか……」


 たしかに上司が代わったのだから、報告を含めて一同に介することは必要かと問われれば必要なのだろう。


「はい。それで、如何いたしますか?」

「そうだな……。時間と場所は、神谷に任せる」

「分かりました。それでは時間調整をした上で、桂木警視監へ連絡を入れます」

「ああ。頼む」

「それと――」

「まだ何かあるのか?」

「はい。以前に桂木警視監に外務省が話を通してきた件は覚えておられますか?」

「……たしか南極大陸の件だったか? 病院以外の話だと、それ以外は心当たりはないが……」

「はい。それで間違いありません」

「ふむ……」


 俺は頷きながらも心の中では溜息をつく。

 神谷が遠回しに話を振ってきたということは、南極大陸の問題を俺に解決してほしいという再三の依頼が外務省から舞い込んだという事は何となくだが直観から分かったからだが……。


「――で、外務省は金を用意できると?」

「それが……」

「ん?」

「今回の南極大陸で起きている異変に関して、報酬は桂木警視監が報酬として提示した北方領土と竹島、尖閣諸島という事で日本政府から打診が来ています」

「北方領土だけでなく竹島と尖閣諸島もか?」

「はい。しかも依頼は日本政府だけでなく国連、国際連盟――、ロシアを含む全ての国々からの総意ということです」

「……それは諏訪市の問題よりも面倒なことになっていそうだな。しかも、中国、韓国、ロシアと揉めている領海と領土を俺というか内閣府直轄特殊遊撃隊に報酬として渡すということは……」

「桂木警視監のお考えで間違いないかと」


 神谷も、呆れた声色で俺の考えを肯定してくる。

 つまりロシアと揉めている北方領土、韓国が不法占拠している竹島、中国が無断で領海侵犯を繰り返していた尖閣諸島周辺の海域。

 それらを俺がというよりも俺の組織が保有することで、俺が国の防衛の一部を担うという状況を作りたいのだろう。


「まぁ、樺太が入ってないだけ――」

「もちろん、樺太も報酬として入っています」

「だろうな……」


 国際社会に認めさせておいて、樺太を抜いて俺に報酬を渡して国を防衛させようとしているのに抜けるわけがないか。


「――で、肝心のロシアや韓国、中国の承諾は得ているのか?」

「中国政府は、日本と国際社会の考えを第一に考えるということで、桂木警視監が尖閣諸島の近海を報酬として受けることは了承しています。竹島に関しては、韓国政府は肯定派と否定派が分かれて国内世論が問題になっているようです」

「ふむ……。まぁ、竹島は元々、日本の領土だからな。俺に報酬として国際社会の大半の国々が許可を出したというのなら、駐在している韓国の部隊を殲滅するから問題ないな」

「それは……」


 神谷が何か言いたそうな表情をするが、他人様の国の領土を――、竹島を土足で占領しているのだ。

 日本政府が、俺に竹島を譲渡するというのなら、相手が先に武力で制圧してきたのだから武力で取り返すのは当然の権利であり筋だ。

 韓国内の世論なんて俺の知った事ではない。

 それで、俺に宣戦布告をしてくるようなら、韓国は、地球の地図上から消し飛ばせばいいだけの話だ。

 どうせ100億人近くの人口がいるのだから1億人程度減ったところで、さしたる問題はないだろう。


「あとはロシアだな」



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