第566話 国連本部(4)第三者Side

 アメリカ合衆国ジョージ大統領の言葉に、国際会議場がざわつく。

 参加している国々の反応はまちまちであった。

静かにアメリカ合衆国大統領が話す内容を待っていたのは先進国が占めていた。

そして、ざわついている国々で知らない国は、辛うじてG20に入れている国々であった。


「どういうことですか?」


 苛立ちを抑えることもせずに立ち上がったのは、韓国の大統領であった。

 

「どういう事とは?」

「日本の態度から見て、今の合衆国大統領の発言は事前に通達が言っていたように見えるからです! なのに! 同じ同盟国である我が大韓民国には情報が降りてきていないのは、どういうことかと! 聞いているのです!」


 韓国の大統領は、顔を真っ赤にしアメリカ大統領に喰ってかかるような素振りで国際会議場で叫ぶ。


「落ち着いてください」


 静かに冷静に、韓国の大統領に向けて落ち着けと諭すように話すアメリカの大統領。


「これが落ちついていられますか! 日本より韓国の方が、劣っていると! そういう事ですか! 同じ同盟国だというのに!」

「なるほど……」


 韓国の大統領の発言にアメリカ大統領は頷くと――、


「申し訳ないが、貴国を信用できないと思っている」

「――なっ!」


 あまりにもストレートなアメリカ合衆国大統領の物言いに、韓国の大統領が絶句する。


「……そ、それは……、我が大韓民国を侮辱していると言っているようなモノですぞ!」

「侮辱も何も中国と裏で繋がっていて北朝鮮に日本の科学物資の横流しなどを行い国際秩序を乱している国のどこが信用できると思っているのか? と、誰しもが思うところであるが?」


 韓国の大統領の怒りの声に、事実をありのまま連ねていくアメリカ大統領。


「さらに、日本の領土たる竹島を不法占拠しておき、日本国内で工作活動をしている組織を幾つも有しているというのに、そんな国を同盟国として対応に扱うわけがない。そうだろう? 夏目総理」


 唐突に、アメリカ大統領から話しを振られた日本国の夏目総理は深く溜息をつく。

 どう考えても批判を日本に転化したいという意図が見え見えだったからだ。

 そしてアメリカの目論見は成功する。


「やっぱり! 裏で日本が糸を引いていたんだな! ロビー活動でも! 金でもバラまいたんだろうが!」


 食ってかかる韓国大統領に、話が通じないと早々に見切りをつけた夏目は、口を開く。


「それで、世界は滅亡するという話だったが、ジョージ大統領。詳しく事情を説明してもらえないか?」

「おまっ――!?」


 血管がブチ切れるまで浮かび上がらせて文句を言っていた韓国の大統領は、馬鹿みたいに口を開けたまま固まる。

 まったく――、一切! 日本政府の首相が韓国大統領の話をスルーしたからであった。

 その様子に、各国の代表が苦笑いを浮かべる。


「うむ。それでは、説明させてもらおう」


 アメリカ大統領が手を上げると、各国の代表が座る席に用意されていた画面上に南極大陸の衛星写真が表示された。




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