第565話 国連本部(3)第三者Side

 ――国際会議場。


 そこには見えた顔ぶれを見て夏目総理は、無表情のまま日本国とプレートが置かれていた席へと座ると同時通訳のインカムを装着する。

 

「総理」

「どうした? 川野」


 頃合いを見計らっていたかのように日本国外務大臣である川野拓郎が、日本国総理大臣に夏目一元に話しかけた。


「はい。外務省の人間が、中国の高官に何か言われていたようです」

「それは気が付いている。大方、ハニートラップにでも引っ掛かって中国政府の言いなりになっているのだろう」

「お気づきでしたか……」

「当たり前だ。あの男の口座を調べるように公安に通達しておけ」

「それは、官房長官の時貞氏の役割では?」

「しばらくは使い物にならないからな。宮下法務大臣と連携して当たるように」

「分かりました。すぐにでも――。それと今回は、G7ではなくG20が召集されているようです」

「G7だと聞いていたが?」

「どうやら、経済植民地となっているアルゼンチン・ブラジル・インドネシア・サウジアラビア・南アフリカ・韓国を中国は利用するという腹積もりのようです」

「なるほどな……」


 外務大臣の川野の耳打ちに、夏目総理は笑みを浮かべる。


「つまり、敵は8国と言ったところか」

「はい。今回の南極で発生したロシア海軍の壊滅の報といい、中国とロシアが急速に接近しているようです。それに合わせてウクライナ東部での交戦も激化していると」

「まったく――、戦争を止めることができんのか……」

「南極の件に関しても、こちらの手の内を諸外国に限定的に報告する事で味方につけて、妥協を探ろうという腹積もりのようです」

「色々と手管を披露してくれるものだ。わかった、川野。そろそろ会議も始まる。怪しげな行動をとっている外務省の官僚は、どんな理由をつけてもいい。拘束しろ」

「それでは、マスコミが無い事無い事書きつらねますが? 左翼界隈やSNSを支配している連中のこともかんがえますと早急な対応は――」

「通信障害ということで一時的に使えないようにIP封鎖をしておけ。その間に、左翼界隈のテロ関係者のアカウントを凍結しておけばいい。それだけでも情報の漏洩は減らせるからな。それと何かあれば。全責任は私がとる。お前は、日本の敵を排除する事に全力で動け。いいな? 他の閣僚にも、そう伝えておけ」

「分かりました」


 夏目総理と話を終えた川野外務大臣は国際会議場を後にする。

 川野が扉から出て数分が経過したところで――、


「今回、集まって頂き嬉しく思う」


 まずは、アメリカ大統領のジョージが、挨拶を行うが、イギリスの首相が手を上げた。


「アメリカ大統領。今回、国際会議を急に行うと連絡があったが、それは例の件で集めたと言う事で宜しいか?」


 イギリス首相の言葉に、アメリカ大統領が頷くと口を開く。


「今回は、一部の例外を除きG20に名前を連ねる各国の代表者の方に集まって頂いた。今回の議題は世界の滅亡に関する内容になる」




  

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