第561話 ロシア艦隊(2) 第三者Side
その時、将軍アドバドフと左官の話を聞いていた軍人の一人が、レーダーが捕捉した光点を確認すると声をあげる。
「将軍! 凄まじい速度で接近する物体を確認しました」
「――何!?」
将軍は、管制官の近くまで駆け寄るとモニターへと目線を落す。
光は一つ。
それは、マッハ――、音速に近い速度でロシア艦隊に近づいてきていた。
「大きさは?」
「大きさは……。――そ、そんな!?」
「どうした? 何を、そんなに驚いている?」
「将軍、此方へ近づいてくる熱源は、人と同じくらいの大きさと思われます」
「――な、なん……だと……? それは、まさか……、桂木優斗か?」
「いえ。南極――、南のボストーク基地方面から近づいてきています。ですので――」
「つまり、アンノウンか!」
アドバドフは、艦橋にいた軍人たちを見渡したあと――、
「全艦隊に告げろ! 敵が、我がロシア艦隊に近づいていると! 全艦隊、目標を確認次第、各艦の判断で攻撃を開始!」
旗艦からの伝令が一斉にロシア軍が擁する軍用艦だけでなく戦略潜水艦を含む潜水艦へと流れる。
それと同時に、南極大陸から飛来してきた白髪の男が、空中で移動を止める。
「まったく、地を這う虫けら共が、性懲りもなく来たというのか」
男の見た目は人間のそれに酷似していたが、眼は、真っ白であり、肌も人肌からは外れているほどに純白のソレであった。
男はロシア艦隊の頭上まで一瞬で移動したあと、手を掲げる。
すると、男の手のひらから遥か上空――3000メートル付近の大気が歪む。
それは巨大な数キロにも及ぶレンズと化し、太陽光を吸収――、屈折させると共に収束し、簡易的なレーザー兵器と化す。
「アザトース様は、人類の抹殺を決められた。邪魔をするのなら、お前らは――、星を喰らう寄生虫には神の鉄槌を与えよう」
男が声を上げると共に、男の額が割れて第三の目が出現する。
それと同時に、収束された光のレーザーは、分厚い大気層をぶち抜き――、ロシアの軍用艦の一隻を、僅か5秒ほどで両断する。
そして遅れて軍用艦は、収束された太陽光の高温により艦艇内の火薬が誘爆していき爆散する。
「脆い、脆すぎるぞ! 今の人間は! 虫けらは虫けらなりに抵抗してみせろ!」
男が叫ぶ。
それに答えるかのように20隻以上もの艦隊から、男が滞空している上空へと向けて機関砲やミサイルが打ち出されて男へと飛来してくるが――、
「下らん」
男が手を払う素振りをしただけで、全てのミサイルや銃弾は弾かれ、ミサイルは、男よりも遥か下方で爆発する。
「我ら神々に対して、そのような攻撃は効かんぞ? 愚か者ども!」
男は指先を艦隊に向ける。
それに呼応するかのように、収束された太陽光レーザーは、1分もかけずにロシアの軍用艦の7割を爆散させる。
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