第526話

「なあ白亜」

「どうかしたのですかな?」

「妖怪って仲間にすることはできないのか? 白亜みたいに」


 白亜が困ったような表情をする。


「マスター。妖怪は、神社庁や陰陽庁と基本的に敵対している。それは、神社庁と陰陽庁が一方的に――と、言う考えだけど。だけど、妖怪を味方につけると言う行為は危険」

「うむ。エリカの言う通り大抵の妖怪は言葉を介さないか、もしくは言葉を介しても価値観が異なるのじゃ」

「つまり話し合いによる共闘も無理だってことか」

「それに妾たち程の力の持ち主となると土地神か、それに近い妖怪――、もしくは半分は神の領域に足を踏み込んだ者達になるじゃ。そうなれば、自然と――」


 そこまで白亜が話したところで、


「ご主人様は、天津神とは契約は結んでいるのですか?」

「契約?」

「先日、妾が出会った黄泉の国の女王とご主人様は仲が良かったように見受けられました故」

「あー。一応、ビジネスパートナーではあるが、契約とかは結んでいないな」

「マスター、それは本当?」

「ご主人様、それは真ですか?」

「嘘をつく理由がないだろ」


 俺の言葉に白亜とアディールが一瞬呆けたような表情を見せたあと互いに視線を目配せしあい――、


「ご主人様。それでは、黄泉の国の女王は、何故にご主人様にお力を貸しているのですか?」

「腐れ縁ってやつだな」


 さすがに、黙って聞いている都と妹の前では本当のことは言えない。

 都の会社が提供しているエレベーターの怪異を解決する時に出会ったとは――。


「はぁ、わかりました。ご主人様が、言いたくないのでしたら良いです」

「白亜、いいの? マスターに聞かなくて……」

「仕方なかろう。ご主人様が話したくないということを問いただす行為は不敬に当たるからのう」

「むー、わかった」

「二人して話が終わったような素振りを見せられても困るんだが? それより、どうして天津神のことを白亜は聞いてきたんだ?」

「それは神々と何かしらの協力関係――、もしくは契約があるのでしたら、半神にまで上り詰めた妖怪の仲間にする事について神々と問題が起きにくいと思ったからです」

「なるほど……。――で、ちなみに仲間にするのなら、妖怪だったら誰が良いんだ?」

「そうしますと烏天狗あたりが妖力も強く良いかと。それよりも、エリカのような人間を仲間にした方がいいのでは?」

「人間は駄目だ」


 すぐに人間は裏切るからな。

 人間を仲間にするくらいなら、人間以外の種族を仲間にした方がいい。

 まぁ、あとは純也のレベルアップも重要だな。

 俺も年がら年中守れるわけではないし。

 

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