第525話
まぁ、実際にはまったく違うが……。
しばらくしてから、妹とアディールが帰宅し――、白亜が遅れて帰ってきた。
アディールが料理したウクライナ料理に舌鼓を打ちつつも、当たり障りない会話を続ける。
「そういえば、お兄ちゃん」
「どうした?」
「今日ね、一学期期末のテスト結果が返ってきたの!」
妹が、見せてきたテスト結果。
そこには学年3位と書かれている。
「どう? お兄ちゃん。胡桃、がんばったの!」
「よく頑張ったな!」
「うん! 胡桃がんばったの」
頭を撫でつつ、俺は自身のテスト結果について戦々恐々とする。
正直、自身のテスト結果が良好かどうかと言われれば――。
「そういえば、優斗。私達のテスト結果も、そろそろ戻ってこないとおかしいわよね」
「そ、そうだな」
この際、崩壊した校舎と共にテスト結果は永遠に闇の中に葬られればいいのでは? と、考えてしまうが……。
とりあえず話題をまずは変えようか。
「そういえば白亜は神社庁に赴いているようだったが、何か用事でもあったのか?」
「ご主人様、そのことですが前回の襲撃者について聞きにいっておりました」
「白亜でも知らないことはあるんだな」
「妾も、福音の箱を封印をしておりまたゆえ」
「つまり引き篭もりだったと……」
「それは言わないでほしいのじゃ……。約束をした役目でもあったし……」
しゅんとしたのか、白亜は、感情を表すように狐の尾を床に垂らす。
「悪かった。それよりも、神社庁の方からは収穫はあったのか?」
俺の問いかけに白亜はコクリと頷く。
「前回、襲撃してきたのは、星の守護者と呼ばれる一団だと言う事です」
「一団ということは組織で動いているということか」
「はい。現在、神社庁で確認できるのは、5人の守護者で、それぞれ一人で神薙全員と同格の力を有していると」
「つまり、神社庁よりも戦力的には上と言う事か?」
「そうなります。ただ、率先して人には危害は加えるつもりはないという理由もあり、神社庁では敵対はしていないと」
「人には危害は加えない?」
「はい。主に星の環境循環に関してのみ行動をしていると神社庁は見解を出していると」
「ふむ」
俺から見た連中は、そんな感じではなかったが……。
少なくとも人間を、人間としては見てなかった。
だが――、それを、この場で言う必要はないか。
それにしても神社庁の神薙全員と、一人で渡り合える力を有しているとは厄介だな。
「白亜」
「はい」
「お前も、奴らと対峙したから分かると思うが、もし戦闘になった場合、勝てるか?」
「一人までなら、二人で時間稼ぎが関の山かと。おそらくエリカでは一人を相手にするのか精一杯かと」
「それでも、元・神薙候補だったエリカなら一人までなら何とかなるかも知れないということか」
「エリカは、ご主人様と契約をした事で、戦闘力だけ言えば数十倍は跳ね上がりました故」
「なるほどな……」
俺は頷きつつも、内心では舌打ちする。
一番の問題は、星の守護者達の戦力が此方では把握しきれていない点だ。
神社庁が考えているように、本当に組織的に動いているのなら、その数は5人では足りないだろう。
むしろ、その5人が下っ端で実行部隊だという事も考えられる。
そうした場合、こちらの戦力だけでは身内を守り切れるのかと言えば難しいと言わざるを得ない。
そうなると、早急な戦力補充が必要になってくるわけだが……。
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