第494話
「戦場の空気って、そんなことが可能なのですか?」
「ああ。何とかなるはずだ」
そのためには、白亜に力を借りる必要があるな。
「それでは、どうするかを教えてもらえますか?」
「さっきも言っただろう? 真砂には――、この学校には伝説の木の伝説があるって、それを利用させてもらう」
「つまり七不思議を利用して戦場の空気を体感させようと?」
「そんなところだな」
「――ですが、どのように?」
「白亜に、強めの心霊現象を起こしてもらうって感じだな。守る人間がいる状態なら、神経を常に張り詰めさせる必要がある」
「だから、戦場の空気ですか……」
「そういうことだ」
俺は白亜へと連絡を取り、すぐに指示を出す。
指示と言っても神社庁の神薙が辛うじて生きられるレベルの心霊現象を起こすように指示を出しただけだが。
話を聞いていた住良木が顔を引き攣らせていたのは気のせいだろう。
新人冒険者の登竜門ってやつだな。
オークの集落に新人を投げ込んで討伐させるのと同じようなものだ。
放課後になり、俺に近づいてくる純也の方へと顔を向ける。
「え? り、凛子さん?」
3週間以上、純也とは意識的に距離をとっていたこともあり、俺から目を合わせるのは初めて。
おかげで純也は、戸惑った表情を見せた。
「純也さん。夜中のデートに、この前、誘って頂けましたよね?」
「は、はい……。でも、それは――」
「わたくし、もうすぐ転校しなければなりませんの。それで、思いで作りということで、純也さんと、御一緒したいと思うのですが、よろしいですか?」
「……え? ええ!? あ、はい! ぜひ!」
「ちょ! ゆう――じゃなくて、四条さん? 何を言って――!?」
俺と純也の会話を聞いていた都が慌てた様子で席から立ち上がると、俺の傍まで来て会話に割入ってきた。
そういえば、都に根回しをするのを忘れていたな。
「都さん。夜の学校で行う肝試しですか? 七不思議って、皆様が噂されているのを聞いて楽しそうと思ったのです。わたくし、そのようなイベントに参加した事がありませんから、転校前に経験してみたく思いましたの」
「……(優斗、何かを企んでいるわね)」
俺の言葉に冷たい視線を向けてくる都。
どうやら、俺の意図を汲み上げてくれたようで――、
「そう。なら、純也の毒牙に掛からないようにした方がいいわよ」
「ご忠告、深く承ります。それで、純也さん」
「は、はい!」
「私は今週の土曜日までしか、此方側には居られないのですが、何時頃にされますか?」
「そ、そうですね。それでは今日の夜に校門前に集合というのは?」
「分かりました」
つまり、あと数時間に集合ということか。
あとは俺の演技力と、白亜次第ってことだな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます