第493話

 純也から夜のデートに誘われてから次の日。

 登校したとこで、昇降口で住良木に声をかけられ、保健室に来ていた。


「四条さんは、コーヒーでいい?」

「必要ない。それよりも、俺に接触してきた理由を聞いてもいいか?」


 一応は、体が弱いと言う設定なので保険医が俺に接触してきて、俺が保健室に寄ることは問題ないが、純也の事がある以上、接触は控えて欲しいと思っていたが。


「分かりました。それでは説明させていただきます。じつは東雲から、峯山純也殿の修行の進捗が芳しくないと報告が来ています」

「修行が?」

「はい。注意力が散漫で、修行に身が入っていないと」

「ふむ……」


 まぁ、理由は何となく想像がつくがな。

 何せ連日のように純也は、俺に話しかけてきて、あの手この手でデートに誘おうとしてくるし。

 おそらく、俺とデートをする事に関して色々と普段から考えているのだろう。

 まったく、純也の給料は陰陽庁から出ているというのに、何をしているのか。


「つまり、俺に何とかして欲しいということか?」

「はい」


 そんなに簡単に頷かれても困る。

 そもそも純也の戦闘力向上に関しては、超常現象に関わっていく以上は必須であり、霊力を使った戦闘においては神社庁が俺よりも適任だから任せていたわけで……。


「まったく、そうなると荒療治が必要になるか」

「荒療治と言いますと?」

「住良木は、伝説の木の下での告白って話を知っているか? 学校の七不思議を知ったら分かるらしいんだが」

「いえ。ですが、学校の七不思議を体験するのは正直、お薦めはしません。レイラインの上に立っている校舎だった場合、強い悪霊に殺されかねませんから」

「ここは大丈夫なのか?」

「はい。ここは、元々は埋立地ですから、霊脈は存在していませんので」

「そうか。――で、その七不思議を全部知ると、伝説の木の下で告白が出来て結ばれるらしいが、そういう話は知らないようだな」


 住良木の様子から、どうやら伝説の木の下というのは知らないというのは分かった。


「住良木」

「はい、何でしょうか?」

「住良木としては、学校の七不思議について、どう思っているんだ?」

「私としては、七不思議は放置して良いと思っています。下手に駆除をすれば霊場の空白を産んで余計な魔物や妖怪が入ってきますから」

「つまり、この学校にも七不思議は存在しているということか」

「はい。ただ、伝説の木というのは存在して無いと思います。もし人同士が告白をするだけで結ばれるのでしたら、それだけ強い縁を結ぶことが出来るのでしたら、私が力に気が付かない訳はありませんから」

「なるほどな。そしたら、俺が戦闘というよりかは戦場の空気というのを純也に教えた方がいいかも知れないな」





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