第487話
翌日は、純也を避けつつ学校での勉学に勤しむ。
もちろん、大学教授陣の力を借りて小テストもサクサクと終わらせているので、常に満点。
才女として――、そして深窓のお嬢様として、学校中から見られているが、近づく男子生徒は――、
「ほら、男子は近寄ったら駄目だから! 凛子ちゃんは、男の人が苦手だから!」
都が追い払ってくれている。
さすがに協力者がいると、楽に生活が出来ていい。
「ごめんなさいね、都さん」
「ううん。気にしなくていいのよ?」
それにしても好意的に近寄ってくる女子生徒まで、追い払うのは、都の立場も悪くなるから、些か問題だと思うのだが……。
そうして――、3週間が過ぎた。
今、俺と都は朝早く学校に来て、誰もいない教室で雑談をしていた。
「そういえば優斗」
「何だ?」
「そろそろ期日なのよね?」
「ああ。今週の金曜日の出社じゃなくて、登校が終われば晴れて男に戻れるな。それにしても純也も3週間も毎日粘るよな……。都が居なかったら、やばかった。色々と精神的に――」
「まぁ、純也も初恋の相手と会えたら、頑張っちゃうよね。その気持ちは分からなくはないけど……」
「さすがに純也は止めてほしいな」
「他の男ならいいの?」
「いや――」
俺は頭を左右に振る。
「まぁ、どちらにしても、来週の月曜日には、普通に戻るからな」
「そうしたら、普通に通えるようになるわね」
「まぁな」
リムジンとか、邸宅とか、雇用している大勢の人間とかを一ヵ月で解雇するのは如何なモノかと思うが、最悪な話、胡桃や白亜やエリカを連れて引っ越せばいいからな。
その辺は、今週中に考えるとして――、
「でも、引っ越すって事にするのよね?」
「まぁ、一応は学校の方には、そういう風に届出は出している」
実際には、四条凛子という人間は架空戸籍だから、色々と異なっている点はあるが、大まかに言えば、四条凛子の戸籍は抹消という形になる。
「都の家の方は、俺のことに関して親父さんは何も言ってないのか?」
「流石に、優斗の妹さんが優斗と別れて暮らすことを拒否したら何もできないでしょ? それに、今のうちは、結構いろいろと大変な事になっているから」
「大変なこと?」
「うん。お父さんが2度目の警察からの事情聴取受けたじゃない? それも、大量に死人が出た事件に関して」
「そうだな」
「それで、業界に、うちが不幸を呼び寄せるみたいな話が広がっていて、株価が落ちて営業利益も落ちているみたいなの。それで資金繰りが悪化していて大変だって、だから優斗にまで意識は回っていないみたい」
「そうか。――で、ちなみにいくらくらいなんだ?」
「さあ? でも、うちの規模だけど数十億、下手したら数百億円の規模かも……」
「なるほどな……」
修二の会社の経営が傾いているのか。
それは――、
「都」
「どうしたの?」
「都の親父さんに会わせてもらう事は出来るか?」
「多分可能だけど……?」
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