第483話
「あなた! 優斗君が、優斗ちゃんで、優斗ちゃんが聖女なのよ? ねえ? 優斗ちゃんを化け物って言っていた事に対して、侮辱していた事に関して、修二さんの今の気持ちはどんな感じなのかしら? ねえ? どんな感じ?」
「……」
追い打ちをすかさずかける静香さん。
「さっき聖女様って言っていたよね! お父さん! 優斗だって、気が付かなかったの? 私と、お母さんは、すぐに優斗だって気が付いたのに!? ねー! おかあさん!」
「ねー!」
フリーズから解凍された修二が、体をぷるぷると振るわせている。
「まぁ、あれだ。俺の案ではないからな?」
さすがに男の姿で女子のブレザーを着ているわけにもいかないから、姿を変える。
ただし、髪の色は銀髪――、瞳の色は赤く。
「ほ、本当に……」
「ええ。聖女の桂木優斗ですわ!」
「だまして……だましていたのか……?」
「別に騙してはいないが? 実際に、俺と二人で話した時には、聖女なんてやってないからな」
肩を竦めながら答えるが――、
「あなた! 騙しているも何も人のことを化け物呼ばわりして、侮辱したという事実は変わらないのよ? 優斗ちゃんは、都が――」
「お母さん!」
「あらら、まぁまぁ――」
口元に手を当てて『オホホホホホ』と笑う静香さん。
だが、その目は笑ってはいない。
「静香さん、怒っているな」
「そりゃ、優斗のことを貶めるような発言をしたから仕方ないよ?」
俺の横に座っていた都が、そう説明してくるが――、まぁ俺が化け物なのは本当のことだから、別に言われても全く気にしない。
二人で食事を再開し、デザートを食べるまで静香さんは、修二に対して小言を言い続けた。
部屋に戻ったあとは、都の部屋のソファーで横になる。
「優斗、お風呂は?」
「家に帰ってから入る」
「うちで入っていけばいいじゃないの」
「――いや、さすがにそれはマズイだろ。変えの下着もパジャマも服もないし」
「チューブトップブラならあるよ!」
「お、おおう……。もう少し羞恥心というのだな……」
「今は、優斗は生物学的には女の子だから大丈夫!」
「いや、体は女だが、心は男だからな」
「そして! その正体は――」
「いや、いいから。とりあえず、俺は寝るぞ」
俺は、そのまま目を閉じた。
「優斗、寝たら服に皺ができちゃう! そしたら、学校の女子グループから値踏みされているんだから、変な目で見られちゃうよ? お嬢様設定が駄目になっちゃうよ?」
「わかったよ……」
「はい! これバスタオルとタオルと下着とパジャマね」
仕方なく、俺は受け取る。
そして都の家で風呂に入ったあと、都から渡された下着をつけたあと――、
「パジャマって……、着ぐるみかよ……」
だが、他に着る服はない。
仕方なく俺は電気ネズミの黄色い大人用の着ぐるみを着て都の部屋へ戻った。
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