第471話 神楽坂都side(8)
私は、ツッコミを入れつつ、1限目のテストに向けて意識を切り替えた。
一日の中間考査のテストが終われば、その都度、私は優斗に会いに保健室へと向かう。
だけど、優斗に会う事はできなかった。
「住良木先生! 優斗は、本当に登校してきているんですか!」
「登校してきているわよ? ほら」
住良木先生が、私に見せてきた答案用紙。
名前欄には、たしかに汚い文字で桂木優斗と書かれている。
優斗が、保健室でテストを受けていることは間違いない。
だって、書かれている文字が、私が保管している優斗の答案用紙と同じ文字だから。
私が優斗の字を見間違えるわけないもの。
「本当に、優斗の字ですね」
「字を見ただけで分かるの?」
「はい」
私は自身を持ってコクリと頷く。
そんな私を見て苦笑いする住良木先生。
そして純也と言えば遅れて保健室に入ってきた。
「住良木さん! 四条凛子さんを、どうして引き止めておいてくれなかったんですか!」
「え? それは、無理だから」
「どうして!」
「貴方、式神をストーカー行為に使ったでしょ? そういう事に力を使う人に対して、協力する訳ないじゃないの」
「……じゃ! 俺は、直接! 凛子さんに!」
「やめなさい。ドン引きされるわよ? 普通の人には、式神なんて話したら気持ち悪く思われるし、ストーカーしていたことがバレたら警察への通報案件だから。今後は、式神を使ってストーカー行為するのはやめなさい」
「……それじゃ、俺の気持ちは!」
「分かったわ。四条さんには、私の方から伝えておくから。それまでは、馬鹿な真似はしないこと! いいわね?」
「……はい」
凛子という女子生徒に関して、暴走している純也を見て、私は溜息をつく。
独りよがりな一方的な恋愛の押し付けはよくないと。
それから数日が経過し――、何故か知らないけど、四条凛子ファンクラブとやらが出来ていた。
それを見て私は思った。
馬鹿な男が思ったよりも多いということに。
「ねえ。都見た? このサイト」
テスト合間の休憩中に、クラスメイトの女子がスマートフォンの画面を見せてくる。
そこには、四条凛子ファンクラブのホームページが表示されていた。
しかも管理者は、峯山純也。
「これって?(あいつは何をしているの?)」
「えっとね、元々はクラスのモテない男子がファンクラブのホームページを作って画像をアップしていたんだって!」
「そうなの?」
「そうそう。それで、峯山君が、怒って札束で叩いて買い取ったって噂」
「へー(純也も、神社庁で仕事をしているって、以前に言っていたから、お金はあるのかしら?)」
「でも、知っている? 都」
「何を?」
「四条凛子って女子生徒、うちのクラス学生で、体が弱かったから登校してきていなかったんだって」
「え?」
思わず首を傾げてしまう。
私は何度か日直をした事があるけど、出席簿には、今まで四条凛子なんて名前を見た事がなかったから。
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