第七章 学校の七不思議編
第444話 第三者side
テスト当日――、
「ねえ。白亜さん。お兄ちゃんだけど……、一日、ずっと寝ているけど起こさなくていいの?」
「ご主人様は、かなり力を消費したようだし起きるまで起こさなくてもよいと思う」
朝食の卵焼きを作りながら、胡桃の問いかけに答える白亜であった。
「そういえば、エリカちゃん。昨日から、お兄ちゃんの代わりに神社庁に行っているけど大丈夫なのかな?」
「問題ないと思うがの。そもそもエリカは、元々は神社庁に所属していた神薙であったからな。ご主人様が行くよりも、綺麗に話を纏めてくると思うぞ」
「そういえば、以前に、そんなことを言っていたよね」
「うむ。それに今のエリカに害を及ぼせる者なぞ神社庁には居らぬと思うからのう」
胡桃と白亜。
二人して台所で、4人分の食事を作りながら会話をしていたところで、玄関のドアの鍵が開く音が通路を通して台所まで響いてきた。
「朝には戻ってくるって言っていたけど、戻ってきたのかな?」
「そのようじゃな。あとは、客人のようじゃ」
「お客さん? こんな朝早くから?」
「うむ。しかも、この霊力は――」
卵焼きを慣れた手つきでお皿の上に乗せたあと、白亜は玄関へと向かう。
その後ろをレタスを千切っていた胡桃も追いかける。
「いま戻った」
玄関を開けて入ってきたのは、アディールであった。
彼女は、手に透明な傘を手にしており、足元が濡れていた。
「雨降っていたの?」
「そう。土砂降り。あと、お客さん、連れてきた」
遠慮がちに玄関へと上がり込んでくる女性。
それは、住良木鏡花であった。
「初めまして、住良木鏡花と言います」
「えっと……神社庁の方ですよね?」
そう言葉を口にしたのは、胡桃であった。
「え? 私を知っているんですか?」
「はい。エリカちゃんから話は聞いていたので。――それにしても……」
頭のてっぺんから、つま先までチェックした胡桃は、がっくりと項垂れる。
「負けたの……」
「何の勝負をしているのか知らぬが、久しぶりであるな。鏡花」
「お久しぶりです、白亜様。話には伺っておりましたが、本当に下山されていたのですね」
「うむ。それよりも神社庁の神薙が直接、乗り込んでくると言う事は、ご主人様に何か頼み事があってきたのか?」
「頼み事というか……容態の確認と言ったところです」
「ほう。何かあったのかは既に察しがついているということか?」
「はい。そもそも、桂木優斗殿に、仕事を頼んだのは神社庁からですので、きちんと責任を取るのは当然と言いますか……」
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