第425話
諏訪警察署に到着し、車から降りたあとは一人で対策室へと向かう。
「桂木警視監。まだ、何か要があったのか?」
「立花警視監……、公安も暇なんだな」
「暇じゃない! お前が! 諏訪市内で起こした大量虐殺の件で色々と後始末しているんだ! 少しは神谷警視長を見習いたまえ!」
「やれやれ。俺は、タワーマンションで銃撃されて壊滅しそうなお前達を守ってやったんだぞ? 感謝されることはあっても憎まれる覚えはないんだがな」
肩を竦めながら、ヤレヤレと言った感じで言葉を返す。
さらに、
「――と、いうことで少しは役に立ってもらわないと困るな」
「――くっ!」
「そもそも、あんな素人に毛の生えたひよっ子の軍隊もどきに殺されるとか公安の人間の質が疑われる。日本の将来が不安で仕方ないな。お前は事務処理でもしていればいいんじゃないのか?」
俺の親切なアドバイスに、歯ぎしりしながら睨みつけてくる立花の横を通り過ぎる。
まったく、敵対する相手と自身の力量の差も理解せずに突っ込むとは無謀もいいところだ。
「ま、まぁ――、今回は助けてもらった事は感謝しよう」
「ふっ。素直に感謝の言葉を言えることは美徳だぞ?」
「だからっ! 何で、そんな上から目線なんだっ!」
「そんなことはどうでもいいが――」
俺は前起きする。
「どうでもよくはないが? それより君は、少しは言葉のなんだね……。年上を敬うというかね……」
「そんな非効率的なことはどうでもいい。それよりも、連絡は入ってないか? 千葉県警察本部で長野県警の本部長と、諏訪警察署の署長と会って怪我人の治療を引き受けたんだが……」
「そういえば、そんな話が2時間前くらいに通達が来ていたな」
「そうか。なら、早速、俺の仕事を手伝ってもらうとしよう。怪我人はどこにいるか案内してくれ」
「人にモノを頼む態度じゃない……な……。はぁー、最近の高校生は本当に言葉遣いを知らない……」
「ふっ、敬語を使って欲しいのなら、使ってもらえるだけの価値のある人間になることだな」
「……」
「はぁー。まぁ、君の戯言に付き合っている程、暇ではないのだが……。あと怪我人の治療と言う事だったら、君の力は知っている。なるべく負傷者は出さない方向で治療をしてくれ。その方が、マスコミに向けての発表の際に少しでも国民からの非難を減らせるからな。流石に私も、この町は地元でもないし詳しくない。一人、この町で詳しい人間をつける。君――」
立花が偶然通り掛かった警察官へと声をかける。
警察官が小走りで走り去ったあと――、しばらくすると年齢は20代半ばの男が走ってくる。
「立花警視監! お呼びと言う事ですが!」
「君は?」
「はっ! 田所(たどころ) 一(はじめ)です! 配属は地域課です!」
「話は聞いているな?」
「はい! ファイアーセールと同時に起きた諏訪市内の中国人によるテロによる被害者救済と言う事で聞いております!」
「そうなる。桂木警視監。コレでいいか?」
「ああ。恩にきる」
俺の言葉に凍り付く立花。
「どうかしたのか?」
「君も礼が言えるのだなと驚いただけだ」
おいおい、そんな言い方だと、俺様が傍若無人なように聞こえるじゃないか。
俺様は、人様に配慮しまくってるぞ?
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