第423話

「それで旦那、今回は命が同行するみたいですけど、どちらまで?」

「諏訪湖までだ」

「例のファイアーセールがあったところですか……」

「どうして知っているんだ?」

「旦那。私の本業は、オカルト雑誌ですよ? オカルト雑誌と言えば取材力。取材力と言えば人脈ですよ。ファイアーセールは受けていましたが、無線機は使えていましたから。それ経由で連絡が入ってきてたんですよ」

「色々多芸だな」

「人脈に感謝と言ったところですね。それより旦那、私が調達した武器とかはどうです?」

「銃弾が尽きたから、また仕入れておいてくれ。お金は、現金即決払いするから」

「分かりました」

「それにしても、どこから仕入れてきてるんだ? 一応、日本には銃刀法って言うのがあるんだろう?」

「プライベートジェットからの大使館経由とか色々とありますから」

「蛇の道は蛇ということか」

「はい」

「それにしても、てっきり本業はライブになっていると思ったが、一応、本業は未だにオカルト雑誌なんだな」

「まぁ、そうですね」

「そういえば、パンドーラは何処に?」

「今日は、握手会ですから」

「なるほど……」


 たしかCDに何秒間という握手が出来る権利をつける風俗商売だったか?

 だが、握手会が出来るほどとなると……。


「パンドーラは人気なんだな……」

「そりゃ、大人気です。何度かスカウトも来てますから」

「そうか。大変だな」

「まぁ、二人も養っていくとなると色々と頑張らないといけないので」

「分かる! わかるぞ! その気持ち!」


 俺の家にも、エリカと白亜が暮らしているからな。

 しかも陰陽庁に所属している職員3000人の人件費や設備経費、事務費など、毎月とんでもない金額が飛んでいってるし。


「まぁ、旦那は規模が違いますからね」

「そうだな……。じゃ、そろそろいくか」

「私も着いていきますよ。旦那が、出動したってことは、超常現象絡みなんですよね?」

「まぁ……な……」


 ゴツイカメラを用意しボックスに入れていく山崎。

 俺は仕方なく、山崎の用意を待つ。

 

「ただいまー」


 仕度を待っていたところで、下着姿のパンドーラが事務所に戻ってきた。


「下着か?」

「水着です! 水着! それより、桂木様が、どうして、ここに?」

「仕事の依頼だ。それより握手会は終わったのか?」

「ええ。幸太郎、命様は?」

「一緒に出掛けるから、もう外で旦那の車に乗って待っているはずだと思う」

「へー。どこにいくの?」

「諏訪市だって」

「えええーっ! 私も行きたい! 幸太郎いいわよね?」


 山崎に抱き着くパンドーラを見て――、


「ずいぶんと仲がいいんだな」

「ま、まぁ……」


 とりあえず山崎もオカルト雑誌を書いている人間だから、神と人間との恋愛はご法度と言う事くらいは知っているだろうから、俺はツッコミを入れないが……。


「ねえ、幸太郎! 今日は、私の番だよね!」

「お、おい!」


 何か言っているが、まったく早く用意をしてもらいたいものだ。

 



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