第417話
「優斗、おはよ」
朝食も食べ終わり、家から出たところで階段下には都が待っていた。
「ああ、おはよ」
欠伸をしながら俺は答える。
正直、昨日は力を使い過ぎて体力がまだ回復しきってないから眠い。
そんな俺を見てきて都がブスッとした表情を見せてくる。
「ほら、急がないと遅刻するぞ」
「うん……。そういえば、今日から純也が学校に来るって」
「そうなのか?」
「うん!」
何と言うか、純也とはアレ以来、会ってないから気まずいんだよな……。
「テスト前だから授業に出ておきたいんだって」
「そ、そうか……」
そういえば来週はテストだったな。
あと3日しかないが……。
「優斗は、勉強は順調なの?」
「…………絶望的だ……」
もう今更、足掻いたところでどうにもならない。
両手両膝をついて絶望するくらいな感じでヤバい状況。
「そ、そうなの? でも、優斗って理数系の科目は得意よね?」
「まぁな……」
それは戦闘で使うから必要なだけで、それ以外の科目は壊滅的。
正直言って、全部足して教科数で割ったら、もれなく赤点以下だろう。
「優斗、昨日とかズル休みしたから、先生からも目をつけられているよ? ほら! 理事長からも、優斗って何か言われていたから」
「理事長から?」
俺は理事長に会ったことがあったか?
そもそも、どうして俺は理事長に変な目で見られているのか、まったく記憶にないんだが?
「うん。以前に綾子先輩が優斗の家に泊まっていたことあるでしょ? たぶん、その関係でだと思う」
その言葉に、俺は気が付く。
力の解放による代償だと。
「そうだな……」
都には、心配はかけたくない。
話を合わせることした。
お昼を食べたあと、午後の授業を受けたあとは、都と一緒に校門を出る。
「純也、来なかったね」
「アイツも忙しいのかも知れないな」
「純也の修行とか?」
「たぶんな……」
まぁ東雲や住良木に聞けば教えてくれるだろうが、俺が連絡とるのもな……、アイツの修行の邪魔になりそうだし。
「まぁ、これでアイツもテストは俺と同じで絶望的ということで仲間と言う事が確定したから、そこだけは喜ばしい事かも知れない」
「……優斗」
「ん? どうした?」
「純也は、たぶん大丈夫だよ。勉強は」
「……」
あとで東雲に電話して、地獄の特訓を提案してみよう。
――トゥルルルル
「アレ? 優斗、電話?」
「ん? ああ」
俺は携帯電話をとる。
もちろん昔に使っていた型落ちの携帯電話だ。
最新式は壊れたからな。
まったく脆いものだ。
「俺だ」
「勉学お疲れ様です。神谷です。桂木警視監、本日、千葉県警察本部まで来て頂けることは可能ですか?」
「何かあったのか?」
「長野県警からクレームが入りました」
「クレーム?」
「とにかく出勤のほど、お願いします」
「俺、もうすぐテストなんだが?」
「桂木警視監。お待ちしています」
「……はぁ、分かった」
電話を切る。
「優斗、何処から電話だったの?」
「警察から」
「仕事の依頼?」
「いや、クレーム対応だな」
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