第416話
――翌日。
「ご主人様っ! ご主人様!」
瞼を薄っすらと開けると、俺が寝ているベッドを揺らしてくる白亜の姿が。
「白亜か……、どうかしたのか?」
外を見れば、霧が立ち込めてはいるが、日差しから見て明朝と言った感じだろう。
実際に時計を見れば時刻は、午前5時を指し示している。
「添い寝にきたのじゃ!」
「黙って添い寝するかと思った」
「ご主人様に、きちんと確認を取る妾は、偉いのじゃ!」
「――いや、そもそも添い寝できるほどベッドはデカくないし、今日は疲れているんだから、ゆっくり寝かせてくれ」
「昨日の戦闘のことかの?」
「分かっているのなら聞くな」
俺は布団を被って欠伸をしながら眠りに落ちようとしたとこで――、俺は、ふと思い返し口を開く。
「そういえば、白亜」
「どうしたのじゃ? 添い寝OKなのじゃ?」
「OKはしない。それよりも、昨日の夕飯の時に妹は何も知らなかったようだが、話さなかったのか」
「うむ。ご主人様の仕事を胡桃殿に伝えることは、良いとは思わなかったのじゃ」
「そうか」
まぁ、それがベストだろうな。
人の生き死に関わっているようなことを言われれば、妹は心優しく純粋だから耐えられないだろう。
「――と! 言う事で! 妾に! 何かご褒美をっ!」
肌着を脱ぎ始める白亜。
俺は、彼女の手を握りしめる。
「ハッ! ご、ごしゅじんさま……。ま、まさか……、分かりました。妾の純潔をささげ――あばばばばばば」
プシューと、体中から煙を吹き出しながら部屋の床に気絶し倒れ込む白亜から、俺は手を離す。
「まったく、油断も隙もない。まぁ、落雷と同程度の衝撃程度なら白亜は問題ないだろう」
もう一度欠伸して、俺は二度寝を決め込んだ。
朝7時を過ぎたところで、制服に着替えた俺は、ダイニングでソファーの上に寝ころびながらテレビを見ていた。
すると台所から3人の声が聞こえてくる。
「わー、白亜さんっ! 髪の毛がパンチパーマになっているの!」
「抜け駆けした罰」
「胡桃殿も、エリカも、少しは妾を労わるという気持ちを持ってほしいのじゃ!」
「それは無理。だって、お兄ちゃんは胡桃のだから」
「待って! そこは、すでに順位付けはついているはず。つまり胡桃ちゃんだけのマスターではない」
「待つのじゃ! 人間と違って妾は500年以上! 純潔を保ったままなのじゃ! そろそろ稚児が欲しいのは、獣としては当たり前なのじゃ! 一緒の家に住んでいて、雄に求められないなんて辛いのじゃ! 拷問なのじゃ!」
「白亜。それとこれとは話は別」
「そうなの。お兄ちゃんの正妻は胡桃で決まっているの!」
いやいや、そもそも兄と妹で結婚事態ありえないんだし、だから正妻とかありえないからな。
テレビを見ながら俺は思わず心の中でツッコミを入れておく。
さらに白亜は発情期に入っているらしいが、そんなのは俺の知った事ではない。
「胡桃も白亜も待つ。マスターが、手を出さないのはひんにゅー属性だから。これは間違いない」
「間違いあるわ! お前ら! 一体、どういう会話してるんだっ!」
流石に、ロリコン疑惑まで向けられたら、俺も黙ってはいられなかった。
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