第404話
「はい。それで当主様、どうされますか?」
「どうされますか? と、言われても携帯電話が使えないのは困るだろう? あとはガス、電気が使えないとオンラインゲームも出来ないからな」
「――き、君はふざけているのか!」
立花、激怒の御立腹。
「そうは言われてもな……。一般人は、インフラが使えないと困るだろ? ほら、俺も一般人だし」
「当主様。一般人は、一人で化け物を討滅したりできませんが……」
「細かいことは気にするな」
車内のモニターへと視線を向ける。
「それで村瀬」
「はい」
「簡単に言えば、ハッキングを受けて諏訪市全域のインフラが使いモノになっていないんだろう?」
「そのとおりです。現在、警視庁サイバーセキュリティ対策本部が総出で対応していますが、日本が誇るスーパーコンピューター富岳を有していても、対応が後手後手に回っているせいで、有効な手段が打てないとのことです」
「なるほど……。それじゃ、すぐに警視庁サイバーセキュリティ対策本部へ連絡を入れてくれ」
「どうされるつもりですか?」
「決まっているだろ? 俺が対処するって言っているんだ」
「はああああああ」
「何だよ? 何か問題でもあるのか?」
盛大に溜息をついた立花に視線を向ける。
「桂木警視監、たしかに君は神の力を手に入れたのだろう。だが、それは直線的なモノだ。言わば絡め手に弱い。つまり頭脳戦において、その力は無力だということだ。君の高校に入ってからのテストの成績を見せてもらったが酷い物だった。正直、そんな人間が――、ファイアーセールすら知らない人間が、日本最高の頭脳集団である警視庁サイバーセキュリティ対策本部が束になっても対応できないテロに対して有効打を打てるとは私は思えないが?」
「あ、俺だ。神谷」
「連絡が取れて安心しました。日本国政府から、桂木警視監に直接依頼です」
「依頼?」
「――お、おい! 私の話を聞いているのか!」
神谷に電話したところで、何かダラダラとうんちくを垂れ流し始めた立花。
俺はスルーしながら神谷に――、
「はい。現在、諏訪市全域で発生しているファイアーセールですが、最後に核爆弾――、中性子爆弾が使用される可能性があるため、その対応をして欲しいとのことです。依頼料は5000億円で」
「OKだ」
「あと出来ればでいいのですが――」
「ああ。問題ない。ファイアーセールに関しては、俺が今から片付けておくから、すぐに回線は使えるようになる。20秒もあれば解決できるから気にすることはない」
神谷と衛星通信経由で連絡しながら、俺は車内のキーボードを繋がっている配線を引き千切り、配線を握り、生体電流を利用した身体強化を行った上で、諏訪市全域の電子系統ネットワークを1秒で支配下に置く。
多少の抵抗はあったものの、そんなモノは俺には何の意味もない。
「神谷。諏訪市の全ネットワークは解放した。復旧したと思うが、確認できるか?」
「え? あ、はい……。少し、待っていてください。はい! 諏訪市内の設備が次々と復旧していくのを確認しました。ライブカメラも――」
「よし。なら問題ないな」
「それで桂木警視監。ファイアーセールに関してですが、日本国政府には如何ほど――」
「ん? こんなの息を吸って吐くようなモノだからな。オマケでいいだろ、オマケで」
「当主様。諏訪市警察署から連絡です。今現在、諏訪市内で暴動が発生していて、こちらへ向かうことはできないとの――」
「つまり、その暴動を鎮圧すればいいという事か?」
まぁ、皆殺しにしておけば問題ないだろ。
「いえ。そちらに関してはインフラが復旧したため、松本駐屯所の自衛隊と、諏訪市警察署と各交番で対応できるとのことです。当主様には、日本国政府からの依頼を完遂して欲しいとのことです」
「分かった」
神谷と会話していた専用回線を切る。
するとうんちくを垂れ流していた立花がよろめき車内の床に腰を下ろした。
疲れたのか?
まぁ、なんかずっと喚いていたからな。
少し心配になったが、そんな立花は――、口を開けたまま何が起きたのか分からないと言った表情で、金魚の如く口をパクパクとさせている。
俺は思わず立花に首を傾げる。
「大丈夫か?」
「き、君は……、君は、自分が何をしたのか……分かっているのか?」
「何をって?」
「――だ、だから! 警視庁サイバーセキュリティ対策本部と日本最高のスーパーコンピューターを導入しても有効打が打てなかったファイアーセールを一瞬で……」
「ああ、そのことか……」
俺は、頭を掻く。
「別に大したことないだろ?」
「は?」
人間の遺伝子の解析と比べたら簡単なモノだ。
もっと言うなら、俺の技は惑星の磁場をモロに受けるからな。
自分が住んでいる惑星が属している太陽系の惑星間、全ての星々や地球の磁場なども全て計算しているのだから、それと比べたらハッキング対応なんて子供だましみたいなものだ。
「ま、まさか……、それも神の力だというのか……」
「まぁ、そんな感じだな」
まぁ、そう言う事にしておこう。
説明もメンドクサイし、何より神の力と言う事にしておいた方が神秘的でいい感じだからな。
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