第383話

「公務執行妨害だ。ここの敷地内を強制的に調査させてもらおう」


 そう告げると同時に、身体強化したまま男達と擦れ違う。

 空中に浮かび上がった3つの丸い塊。

 それに続いて、頭と胴体が切り離された胴体から鮮血が吹き上がり、即死した男達の身体は、コンクリートで整備された地面へと倒れ込む。


「「あ――」」


 拳銃を向けてきていた残りの二人が、仲間達の死体を見たあと、俺へと視線を向けてくる。

 そこには恐怖や憎しみと言った感情は未だに内包されていない。

 何故なら、何が起きたのか? と、いうことを理解出来ていないからだ。


「知っているか? 人に拳銃を向けてくるということは死ぬ覚悟があるということを――」

 

 俺は二人の男達に、今、起きたことを認識させる為に、わざと時間を作る。

 人が正しい現状を正しく認識する為には時間が必要だからだ。

 

「そして、俺に発砲するって事は、殺される覚悟があるってことを」


 一歩歩みを進める。

 コツという固い音が靴底から聞こえてくる。

 靴底の滑り止めの金具とコンクリートが当たった音であったが――、


「な、なんなんだよ! お前っ!」


 そこでようやく動いたのは二人の内の一人の警備員。

 警備員は、トカレフの銃口を俺に向けてくるが、トリガーを引く前に間合いを詰めた俺がトカレフの銃口を手で塞いだことでトカレフは爆発し、男の右手が血塗れになり――、


「おいおい。戦闘中だぞ? 何を蹲っているんだ?」


 蹲った男の脳天に手刀を振り下ろし、頭蓋を真っ二つに斬り裂き、周囲に脳漿を撒き散らせ――、続いて周囲には血が撒き散らされる。


「――ひ、ひぃいい。お、おまえ――、警察官じゃなかったのか!」

「身分はそうだが、俺は日本の警察ほど甘くはないぞ? なにせ、今回の依頼は冒険者として受けたからな。俺と敵対した奴を生かして捉えるなんて項目は無かったからな」

「な、何を――、何をわけわからない――こ……と……を……」


 銃口を向けていた最後の男の頭を手刀で刈りとったあと、俺は視線を前方へと向ける。

 そこには30人を超える警備員の恰好をした男達が呆然と立っていて――、現状を把握したあと、一斉に銃口を向けてくるが――、


「愚行だな」


 俺は空中に、十数枚の硬貨を放りなげると同時に腕を横に振るう。

 それにより硬貨を電磁場により射出――、レールガンは、俺に銃口を向けてきていた男達を一瞬で肉片へと変える。

 俺は躯となった無数に肉の塊を踏みつぶしながら施設内に入るが――、


「『桂木警視監!』」

「何だ?」

「『今の光景は、一体なんだ?』」

「何と言われても拳銃を向けられ発砲されたから正当防衛で殲滅しただけだが?」


 そう署長に返す。

 

「『それは、大量虐殺だ。警察官が、そのようなことを――』」

「何を甘いことを言っている? 相手を殺すような連中を無力化しただけだろう? 逆に拷問に合わずに一瞬で死ねることを感謝して欲しいものだ」


 俺は、肉の塊の山を踏み越えながら答えた。

 



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