第364話
GPSを利用した地図。
それを片眼鏡のレンズに表示したまま波動結界を展開しつつ山の中を移動する。
失踪者捜索対策室が指定した行方不明者の移動範囲の7割方を2時間ほどで調べ尽くしたところで――、
「電磁波?」
波動結界に引っかかった微細な電磁波。
俺は、すぐに移動方向を変えて微細な電磁波を感じた方向げと走る。
『桂木警視監、どうかされまいたか?』
「300メートル先で何か落ちているのを確認した」
スピーカーから聞こえてきた声に俺は言葉を返しつつ、感じ取った現場に到着し足元に落ちているスマートフォンを手に取る。
「こちら桂木。キャンプ場から南へ500メートルの山間部で携帯電話を拾った」
『電源は?』
「電源は生きている。所有者は、宮本(みやもと) 昭(あきら)だな」
『そ、それは!? 山の捜索隊に参加していた警察官――、宮本巡査の所持品です』
「そうか」
『他には何かありませんか?』
「他にはか……」
波動結界を展開し――、
「他に落としモノは無いようだが……」
『そうですか。それでは引き続き――』
「――別のモノが掛かったみたいだな」
『――え?』
波動結界が感知した方へと視線を向ける。
すると、そこにはサバイバルゲームをしているような出で立ちをした男達が立っていた。
「どういう事だ? 民間人は、出入りできないようにと、全ての街道と山を封鎖しろと俺は対策会議の時に伝えたはずだが……」
『こちらでも映像を確認してますが、民間人は一人も通していません』
「――ならアイツらは……」
無許可でサバイバルゲームをしているということか……。
まったく、
「ここは警察関係者以外、現在は立ち入り禁止になっている。すぐに山から下りてくれ」
面倒なこと、この上ないな。
俺は男達に近づきながら、彼らを保護する為に近づくが――、
男達は、銃口を俺に向けてくる。
それを見た瞬間、俺は足を止める。
何故なら、男達からは明らかな殺気を感じたから。
「人様に銃口を向けるなと教わらなかったか?」
俺の言葉を合図とばかりに、銃声が鳴り響く。
その銃声を、俺は紙一重で避ける。
男達は、驚いたような表情をしたと同時に、日本語ではない言葉で会話すると共に――、一斉に銃口を向けてくる。
『桂木警視監! 言語から中国語です。すぐに撤退を――』
「中国? どうして中国の連中が山の中に居るんだ?」
『分かりませんが――』
諏訪警察署の対策室の人間と会話しながら、俺は翻訳機能をONにする。
それと同時に、最初に俺に銃口を向けて引き金を引き銃弾を見舞ってきた男が手で指示をすると、連続して銃声が鳴り響く。
無数に飛来してくる銃弾。
それらを素手で弾く。
「バカな!? 素手で銃弾を弾くだと!? 忍者か!? ――くそっ。仕方ない! 手榴弾を!」
男の指示で、手榴弾の準備をする兵士達を見ながら、俺は肉体強化をしたまま素手で大気を切り裂く。
切り裂かれた大気は、空間の断裂により真空の刃を生み出し、兵士達が投げた手榴弾を空中で斬り裂く。
残骸が地面の上に落ちところで――、
「な、何が起きた……?」
「お前達、どこから来た? それよりも、どうして、こんな山間部にいる? しかも拳銃や手榴弾などの軍用の装備まで所持しているという事は――銃刀法違反か?」
『桂木警視監、おそらく彼らは秘密裏に上陸した中国軍の可能性が高いです。アサルトライフルを所持している事から何らかの任務についている可能性が――」
「了解した」
対策会議室のオペレーターに返事し、一瞬で命令を出していた男に近づくと同時に男の胸元を掴み木に叩き付ける。
「ぐはっ!」
「言語内容から中国軍か? ここにいる理由を教えてもらおうか?」
「お、おまえは……、一体、何者だ……?」
「名乗る名はない。それより、お前らは何のために、こんな場所にいるのか教えてもらおうか? 正直に答えないなら、俺は尋問が得意だからな。覚悟した方がいいぞ?」
「馬鹿か……。周りを見て見ろ……」
「30人いるが、それが何か形勢逆転の可能性でもあるのか?」
「何を強がっている……。たった一人で一個小隊に勝てる訳が……」
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