第182話

「それにしても、私に車を運転させるとは思いませんでした」


 岩手県警を出たあと、警察車両を借り受け住良木の運転で盛岡市内を移動している。


「そうか?」

「桂木さんなら、空を移動すれば、すぐに現地に到着できますよね? その方が、時間短縮になりますよね?」

「まぁ、直接的に行くなら、そうなんだがな……」

「どういう事ですか?」


 俺は、スマートフォンを操作しながら、目的地の検索を終える。


「とりあえず装備が必要だからな。警察に届けていると時間が掛かりそうだし――、とりあえず、ここに向かってくれ」

「わかりました」


 車は、盛岡市内を5分ほど走り目的地に到着する。


「ここって……」

「早く行くぞ。あ、住良木は、高給取りだから金はあるんだよな?」

「お金というか貯金ですけど……」

「ちょっと貸してくれ」

「この前、お貸しした分の返済はされていませんけど……」

「それは、今回のクエストを解決したら払うから」

「はぁー。出世払いですか……」

「出世払いっていうなよな」


 二人して、店の中へと入る。

 店の中の奥の方に到着すると、ショーケースの中には、幾つものナイフなどが飾られている。

 俺は、一瞥したあと、カウンターに座っている店員に近づく。


「すまない。サバイバルをしたいから、一式購入したいんだが――」


 話しかけた店員は40代好きの男。

 髭を生やしており、体格はよく見える事から普段からスポーツをしている事は一目で分かった。


「ふむ……、何が欲しいんだ?」

「サバイバルナイフと、投擲に適したダガーかナイフが欲しい。あと、刀があれば良いんだが、刃渡りの長い得物を見繕ってほしい。それと軍用のベストがあるなら、それも用意してくれ」

「戦争でも行くつもりなのか?」

「ちょっと本格的なサバイバルをしようと思っただけだ。お金に糸目はつけない。最高級品を用意してくれ」

「かなりの額になるが払えるのか? どう見ても高校生にしか見えないが……」

「俺じゃなくて、コイツが払うから」

「コイツって……。おほん! このカードで、お願いできますか?」


 住良木が、財布の中から取り出したのは黒いカード。


「これは……、ブラックカード!? わ、分かりました! すぐに用意をします!」


 男が店員を店内放送で呼ぶ。

 呼ばれた店員とレジを代わった男は、すぐに用意を始める。


「こいつは、米軍の横流し品の防弾・防刃ベストになる。価格は70万円だ」


 チラリと俺を見てくる。


「ソイツをもらおうか」

「まいど! 次だが、フルタニングナイフだ。価格は4万円ほどだが――」

「全部もらおうか」

「まいど!」


 ナイフを収容するための装備一式と、ナイフを全て購入。

 最後にはマチェットを購入。


「全部で180万3800円になります」

「住良木悪いな」

「あとでキチンと返済してください」

「分かっているって!」


 国からの依頼を完遂すれば、180万とか一瞬で返済できるだけの額が入ってくる。

 180万円なんて耳揃えて一括で返せるからな!


 購入後は、住良木の運転で遠野市へ向かう。

 


 

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