第24話
俺は攻撃魔法が使えないというか、そんなまともな能力を与えられて異世界に召喚された訳でもなかった。
いわば、地球で暮らしていた時のまま、転移しただけに過ぎない。
そんな俺には、遠距離攻撃の手段なんてモノは無く、仕方なく修練の結果! 得たのが増幅した生体電流を利用し作り出した磁界を利用した加速粒子砲。
――謂わば、『レールガン』と呼ばれるモノ。
ただし、これには一つ制約があった。
レールガンを使用する際には金属の塊が必要になるという点である。
まぁ、そのへんは異世界で冒険者として稼いだ銅貨・銀貨・金貨などを代用していたが……。
「桂木さんっ!」
「ああ。いまのも教えるつもりは――」
ハッ! として、山崎の方を見た時には、山崎は砕かれたゾンビの躯を超えて叫んできていた。
「早くこないと!」
「あ、そういえば……」
後ろを振り返れば、目前まで激流と化した硫酸が向かってきているのが見えた。
咄嗟に身体強化を行い、山崎が走っているようへと駆ける。
一瞬で、山崎を追い越し――、そして前方に向けて銃口を向けたあと、レールガンを射出。
俺達の行く手を阻むように迷宮から生まれてくるゾンビを一掃していく。
狭い通路だったからこそ、出来る方法だったが、大迷宮に大別されるダンジョンなら面倒だったかもな。
しばらく通路を走り、手掘りの洞窟から抜ける。
視界は一気に広くなり、それと同時に俺は足を止めた。
「大ホール? いや――。空が見える? しかも……」
直径100メートルはあろうかという大ホール。
床は黒の大理石で作られており、中心部には直径80メートルほどの穴が空いている。
穴は、地下に通じているだけでなく吹き抜けている空にまで通じている。
問題は、空の色だが紫色の色彩を持っていることに違和感を覚えつつも、異世界なら当たり前かと納得し――、ドン! という音と共に、俺の体は空中を舞い――、落下を始める。
「すいません!」
「お前か!」
「いや――、硫酸が近づいてきていて、必死に走っていましたら……」
「俺にぶつかったと?」
「それは……はい……」
言い合いをしている間にも重力加速度は地球と同じなのか、俺達の穴の底へと落ちるペースは加速度的に増えていく。
さらに追い打ちをかけるように滝のような硫酸が頭上から降ってきていて――。
「ああっ! 桂木さん! 上! 上」
「分かっている」
銃口を硫酸の滝へと向けて放つ。
次々と放ったレールガンは、硫酸を蒸発させ散らしていく。
だが、対処しきれない硫酸は、さらに細かな粒へと変わり振ってくる。
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