第一話 B5

 俺たちが談笑を始めて20分程経った頃、自室のドアが開いた。


「ただいま」


「おーおかえりサイファ」


 今帰ってきた獅子獣人は、サイファ・レガロック。この班一番の常識人だ。


「やれやれ、いつもの事だが、あそこはやたらと敵が多いな」


「あーエステンロールな、あそこ激戦区だよな」


 エステンロールとは、この辺じゃ名の知れた激戦区だ。元々は人が待ち合わせしたりする広場だったらしい。今も別の意味で人は来るけどな。


「能力持ちなら楽に戦えるのか?」


「楽っていうか、俺は守るのが仕事だからなぁ」


 ガイアがそう言った。まぁ確かに、ガイアの様にディフェンスが役割の能力者って、仲間のために防御壁作ったりするだけだから、相手に攻撃が出来ないから楽ではないんだよな。


 能力者とは?


 実はこの星には、『能力者』と呼ばれる存在がいる。しかし、誰しも能力者という訳ではない。生まれ持っての才能、みたいなものと言えばいいだろうか。そのため、鍛錬を積めば習得できるという訳ではない。何時、その能力が発現するかは個人差があるようだ。何時か俺も能力が…なんて思っているが、多分もう遅いだろう。


 能力者の殆どは、幼少期から発言する事が多い。もう大人になってしまった俺にはもう発現しないだろう。


 さっきサイファが言ってたが、実はガイアはその『能力者』の一人だ。薄い緑色の壁を何も無い所から作ったりする事が出来る。その能力で相手の攻撃をガードするのがガイアの役割だ。


「誰か攻撃に特化した能力者とか現れねぇかな」


「この歳になって発現した、とかだったら面白いな」


「ルイとか発現しそうじゃね」


「え、何で俺」


「何となく」


「何だそりゃ…」


「へへっ」とアルが笑う。…結構可愛い笑い方するんだよな、アルって。


 その時、またドアが開いた。


「みんなただいまー」


「おかえりーロゼル」


 このホワイトタイガーの獣人は、ロゼルガーナ・バルレイド。B5の中で一番友達思いな人だ。


「今日も怪我人沢山出たなー…」


「やっぱ出る時は出るよな…」


「亡くなった人たちもいるしね…」


 ロゼルの役割は治療。戦場で負傷した方々を治療するのが仕事。その傍ら、命を落とした方々を供養する仕事もあるため、優しいロゼルにはなかなか荷の重い役割でもある。


「まぁまぁ、お前の心の傷は俺たちが癒すからさ」


「だな、ロゼルの一番の治療法は俺たちが癒してやることだからな」


「ルイ…サイファ…ありがとう」


 ロゼルが俺とサイファに抱き着いてきた。ロゼルはガイア並に身体がでかいので、俺とサイファが腕を回してやれば丁度いいくらい。


「おっと、俺もいるの忘れんなよ?」


「俺も抱き着くぜー」


 アルとガイアも、ロゼルに抱き着く。…やっぱ、五人でいる時の安心感すごいな。何時までもこの五人で平和に過ごせたらな…。


 その時、警報が鳴った。


『敵軍接近中、敵軍接近中。直ちに撃退せよ。繰り返す━━━』


「…マジ?」


「マジだぞ、早く準備して行くぞ!」


「よし、纏めて撃退して差し上げようじゃないか…!」


「何人でも撃ち抜いてやるさ」


「お、俺も頑張る!」




 B5、いざ出陣!

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