第2話 登校

 俺は、ミス・日向ひゅうがに輝いた学校一の美少女、桜井さくらい結月ゆづきと付き合うことになった。これからどんな話になるのか。

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 ピンポーン

 こんな時間に誰だ。宅配アマゾンは明日届くはず。

 「はーいって結月?!?!」

「えへへっ。おはよ。びっくりした?」

「多分寿命十年くらい縮んだ。」

「んじゃあ私と涼介くんが一緒にいられる時間が十年減ったってこと?!」

「大丈夫だ。結月との時間は別腹だ。」

 何言ってんだ俺!これうわさされたら寿命縮むどころか死ぬな。

「まぁとりあえず早く着替えて学校行く準備して!お邪魔しまーす!」

 結月がいきなり俺の家に入ってきた。まぁ、もう両親は社畜しゃちく行ってるし。いっか。

「ソファーに座っててくれ。すぐ準備終わらせる。」

「こんにちは〜お着替えお助け会社です!さぁ早速着替えていきましょうっ!」

 結月が俺に制服を着させてくるって何やってんだ結月?!てか全然抵抗してないし! なんだろう。よく母親に幼稚園のころ、こうやってやってくれてたな。懐かしい。幼い頃に戻りたい泣

そう考えてるうちにもう着替えが終わっていた。もしかして家で練習してきてた?なんか怖いな笑

 「えーと代金の方がですねぇ」

「いや金取るのかよ!」

「代金は、ぎゅーっ10秒で!」

 おーお手頃価格。ってぎゅーっだと?!まだ一回もしたことないんだぞってなにこの締め付け。

 佐藤くんは美少女にぎゅーっされていた。これで、佐藤くんのぎゅーっの初体験はつたいけんが終了した。

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 学校は俺の家の最寄駅もよりえきから1駅のところだ。駅までは自転車で向かうのだが、今日は結月がいる。流石に自転車の二人乗りは危険だ。警察に捕まったら人生終わりだ。仕方ない。歩こう。


 「結月〜?置いてくぞー」

「ま、まってぇ… 置いてかないでぇ」

 玄関の鍵を閉め、学校に登校する。いつもはぼっちなのだが、今日は隣に彼女がいる。

 駅に着いた時、結月が聞いてきた。

「んねぇ?私たちさ、まだ、手、繋いだことなかったよね」

 確かにそうだ。結月の言う通りだ。俺たちはまだ手を繋いだことがない。 なぜいきなり聞いてきたんだ?

 「言われてみればそうだな。なんでだ?」

 結月の顔を見るとちょっとほおが赤い。それはそれで可愛い。


 「手、つなご…?」


 さっきより頬を赤く染めて言った。勇気を振り絞って言ったんだ。受け入れてあげないとな。

 俺は紅色くれないいろに頬が染まってしまった状態の結月に手を差し出す。

結月は俺の手を手に取った。ん?これ蒸気?結月は下を向いてたので、下からのぞくと、結月の頬は原色の赤より赤くなっていた。結月は目をつむったまま下を向いていた。俺の顔はいまだに結月の顔の下だ。結月が目を開けた。もちろん、びっくりしていた。

 「私、涼介くんの家で、お着替えお助け会社やったじゃん。あれは、恥ずかしいのをまぎらわすため。手繋ごって堂々言ってみたけど、すごい恥ずかしかった。私の願いを受け止めてくれてありがとう。これから、毎日涼介くんの家に行くから一緒に手繋いで行こうね。約…束」

 「ああ、約束する。絶対、な」ギュ

 何故か俺は結月に抱きついていた。無意識に手と体が行動していた。

 「んじゃあ、行こっか。帰りも一緒に帰るか?」

 「もちろんだよ。約束ね」

 俺たちは手を繋ぎながら電車に乗り、電車に揺られ、電車を降り、改札を出場し、歩いて学校へ向かった。

 もちろん、周囲の人の目線は凄かった。

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