第17話 天野さんとショッピングモール3
「俺たちってさ」
俺は呆れたように言葉を発する。
「どんな日でもやってること変わらなくない?」
ハンバーガーを食べた後、訪れたのはいろいろな音が飛び交うゲームセンターだった。
「いやだって私もあとどこ行けばいいかわかんないし」
「同族か」
「ショッピングモール中級者あたりに位置すると自負してるから同族じゃないわよ」
いや同じ初心者だと思うけどと心の中でツッコんだが口にすることはやめておいた。なんとなく。
「で、来たのはいいけどいったい何をするんだ?」
「それはねぇ」
と天野さんはある二台のゲーム機に進んでいく。そのゲーム機は対戦型ドライブゲームだった。
「なんでいきなりそれなんだ?」
「緑川君運転下手そうだから勝てるかなぁって」
「動機が最悪すぎる」
俺たちはそれぞれのイスに座り百円を入れハンドルを握る。
運転下手そうと言われたからには絶対に勝ちたい。そう思いながらハンドルを握った。
ゲームが終わると俺はイスから立ち上がった。
その俺をまだイスに座っている天野さんが見上げて呟く。
「緑川君本当に下手だったんだね」
「ペーパードライバーなんだよ」
「私たち免許持ってすらないからペーパーも何もないけどね」
天野さんが苦笑した。
その後俺たちは一時間ほど遊び、ゲームセンターから出ることにした。
「いやぁ、景品取りすぎでしょ緑川君」
「なんか覚醒してたんだよね」
そう言う俺の両手にはゲームセンターで取れた景品の袋が握られている。
俺と天野さんはぶらぶらとショッピングモールを歩くことにした。
「天野さん、今二時くらいだけど何かする?」
「そうだなぁ」
天野さんは顎に手を当てて考えだすと、いきなり「あっ」と呟きながら小走りに走っていく。
そして少し離れた先で天野さんがこっちこっちと手を振ってくる。
「映画でも観よっか」
「そっか、ここ映画館あったんだな」
「私この映画気になってたから観てもいい?」
「俺はなんでもいいけど」
そう言って天野さんが指さしたのは今話題になっているラブコメ映画だった。映画に疎い俺でも知っている作品だ。
俺たちはそのままチケットを購入し、買った席へと移動する。天野さんが右側で俺が左側だ。
そして二人の両手にはポップコーンとジュースが握られている。
そして映画が始まった。
映画の途中、キスシーンがあり、なんとなく天野さんのほうを振り向くと天野さんは耳を真っ赤にさせながらもにこにこで観ていた。
スクリーンに向き直り、有名俳優と有名女優のキスシーンを観ながらポップコーンを食べるが食べるのは今ではないような気がしてくる。
そして三時間ほどあった映画も終了し、ぞろぞろとほかの客も出ていく。
そしてその客たちに続いて俺たちも出ていく。
時刻は夕方の五時ごろ
「そろそろ帰るかぁ」
と俺は伸びをしながらそう天野さんへ言う」
「楽しかったねぇ」
と天野さんの俺に釣られるように伸びをして言う。
そして俺たちは帰路に就いた。
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